第37話 幸せ〈おやすみ〉

叫びたくなる気持ちを抑えて深々と礼をする。




「……お初にお目にかかります。無礼をお許しくださいませ、皇后陛下。」




「いいの!いいの!今日は非公式にソフィア叔母様のお誘いできたんだから!」




ソフィアお祖母様……???


お祖母様……顔が広すぎない……やっぱり我が家で一番敵に回したらいけないのお祖母様じゃないかしら。


柔らかい金色の髪はライムとミントにそっくりだなぁ


……王国1の美人って言うのは間違いじゃないかも……




「失礼ですがお祖母様と皇后陛下はどのようなご関係で……?」




「もう!もっと砕けた感じで話してくれていいのに〜」




王家の方々ってこんなにフレンドリーなんだろうか?


この親子が異例……???




「わたくしのお母様とソフィア叔母様ははとこなのよ。」




……物凄く遠い……だから……???


私は一応ライム達と血が繋がっているのか。




そういえばお祖母様ってうちに嫁ぐ前は公爵令嬢だったけ……???


王家との繋がりがあってもおかしくは無いけど……


それでも遠いなぁ……




「ソフィア叔母様からはたくさんの事を学んだわ……ラベンダーちゃん、わたくしからはこれをあげる。開けてみて!」




更に高そうな包装紙を取り、少し重い箱を開ける。




「うわぁぁ……」




紫の宝石があしらわれたイヤリングだった。綺麗なのだが、煌びやかすぎる訳ではなく……


自然と顔を見た時に目を数秒奪われるくらいだろうか。




……なんだろう……この計算された感じは。


やはり社交界の華……国1番の美女の名は伊達ではないと感じる。




「ありがとうございます、皇后陛下。」




「社交界デビューしたら、そのイヤリングをつけてきてくれると嬉しいわ。」




「勿論です。皇后陛下に頂いたものに見合うようなレディになれるように精進致します。」




「ラベンダーちゃんは本当に可愛いわね〜私もこんな孫が欲しいわ!」




「かあ様……気が早すぎます!」




「何を言ってるの!孫なんてすぐよ〜うちのレオンだっていつの間にか大きくなって、結婚してもう子供までいるのだから〜」




「お姉様!!!これ!私達からのプレゼントです!」




ピンクや水色などのの優しい色で纏められた花束だった。


綺麗……




「お姉様もイメージして作ってもらったんですよ!」




私がこんな可愛らしく、上品な花束のようにローズの目には映っているのかと思うと姉としての威厳は守れているのだろうか。




「嬉しい……」




この世界に転生してから……こんなに嬉しいと思ったことがあっただろうか。私はラベンダーという人生を歩めることに喜びを感じた。


もちろん、世界を救うなんて私には重役だし、そんなことをしたいとも思えないが……


それよりも今は幸せが勝る。




「ライム、ミント、そろそろ帰るわよ。」




「わざわざお越しいただきありがとうございました。」




「またこっそり私も遊びに来るわね♪」




「いつでもお待ちしております。」




皇后陛下にこんなことを言うのもどうかとは思うけども。


お忍びでも侯爵家に来ちゃダメでしょう……


まぁ、そんなこと言えないけどね!




「ふわぁ……」




「ソフィア様、お嬢様は疲れていらっしゃるので……お部屋でそろそろ寝かせますね。」




「そうね……おやすみ、ララちゃん。いい夢を。」


「お姉様!おやすみなさい!」



マリア……ナイス気遣い!


本当に怒涛の一日だわ……


眠い……




ササッと寝支度を済ませ、目を閉じた瞬間に寝るような感覚で私は眠りについた。




その夜はとても幸せな夢を見た気がした。


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