第36話 幸せ〈驚き〉
「ありがと」
「ああ、風邪ひくなよ」
ロータスが貸してくれていた上着を返す。
「それじゃあ、またね……いつでも遊びに来てよね!」
「……ああ。」
「もちろん!」
怒涛の一日だったなぁ……街を巡って、天使と契約を結び……
どっと疲れが押し寄せてくる。あぁもう色んなことがありすぎた。
自分が天使と契約したのか……あんまり実感がないな……はぁ……
そっと大広間の扉を開ける。
パーン!!!
巨大な破裂音に思わず耳を塞ぐ……クラッ……カー……?
「「「お誕生日おめでとう!!!」」」
「え……?」
そっか……今日、ラベンダーの誕生日だ……前世の誕生日の感覚があったから完全に忘れてた……
「ラベンダー!」
その声に振り返るとそこには先ほど別れたはずのロータス達がいた。
「どうして……」
「お前……まじで誕生日忘れてたのか?」
少し呆れたような声でロータスが言う。ロータスは初めて会った時から迷惑をかけっぱなしである。これからも頼っちゃうだろうけど。
「まぁ、ラベンダーらしいね」
苦笑しながらライムが優しく微笑む。ライムにはお世話になってばかりだ。本当なら不敬罪で捕まっても可笑しくは無い。
「成功して良かったぁ!」
「だね!」
ローズとミントが心底嬉しそうにはしゃぎあっている姿はとても愛らしくて。その笑顔に毎日癒されてきたんだなと実感する。
「もっとラベンダーは自分のことを大切にしなさい!天魔契約は私からのプレゼントよ。」
エミリアが少し不服そうに口を尖らせて言う。私のことを思ってやってくれたのだと思うと胸が暖かくなる。
「……うん」
私は……とっても恵まれているな。
「ララちゃん!」
「ふぐっ!……おばぁ……様……」
待って死ぬ死ぬ死ぬ!息が……苦しい……締めつけ具合が……お祖母様なんでこんな力強いの……
「ソフィア……やめんか。ララが苦しそうだろう?」
「そうですよ。お祖母様。」
「……お姉様……死んじゃいそう……」
「あら、ごめんなさいね?」
やっと……解放された……
はぁ〜……毎度の事ながら死ぬかと思った……
「お爺様もお祖母様も……まさかこのためだけに領地から王都まで……?」
「もちろん!ララちゃんの誕生日なのよ!来ないはずがないじゃない!!」
まぁそこまで遠くはないんだけどさ……お爺様もそんなオーバーに頷かなくて大丈夫だから!
「はい、プレゼントよ。開けてみて!」
真っ赤な神に包まれた箱を開けると……
櫛だわ……銀色にワンポイントとして紫の宝石がついている。
「ララちゃんのその素敵な長い髪をこれでといてちょうだい!」
「……ありがとうございます……お祖母様……お爺様……」
「ラベンダーちゃん、改めてお誕生日おめでとう。」
プラチナブロンドの美しい髪をなびか
「ありがとうございます……お祖母様、この方は……」
「ああ、この方はこの国の皇后殿下……ライム殿下とミント殿下のお母様よ?」
……え?
理解をするのに3秒もかかってしまった。
「え……えぇ〜!!!」
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