私はヒロインのサポートキャラ!?いいえ、悪役令嬢のサポートキャラです。

奏雨/みるく かふぇおれ

第1章 始まりと幸せ

第1話 決意

「ううっ…」


激しい頭痛で目を覚ました。茜色の教室に1人。

夕焼けって他の色が分散されて赤が残るから赤いそうだ。だからだろうか夕焼けに孤独感を感じるのは。


委員会の仕事終わりに寝てしまったんだな…時計は短針が5を指している。


「悪夢を見るのも久しぶりだなぁ…」


「ねーちゃん…助けて…」


「っ!」


振り返ってもそこに彼がいるはずもなく。ただ胸が強く締め付けられるだけ。

…頭が痛い…


「…帰るか。」


立ち上がると上手く立てず目の前が暗くなる。

…貧血かなぁ。


私はまだちょっと目眩がしていたがゆっくり歩いて帰る。

正直、本当に体調が悪かった。


いつものコンビニの前を通り、大通り沿いに歩いていく。

いつもの公園の前をいつものように通る…

…ことはできなかった。


ボールを追いかけて小4くらいだろうか?男の子が飛び出していく。もっと私より足が速そうな人。力がありそうな人。

……誰も動かない。あの時もそうだった。


「待って!」


思わず飛び出してしまった。彼を無理やり押しのける。


キキィーーという音と激しい衝撃と共に私の視界は黒く染っていく。

綾………………翔………こんなお姉ちゃんでごめんね…


私の意識は闇に沈んでいくのを感じた。


-----


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ナイフを持った少年がかわいらしいドレスを着た女の子に突っ込んでいく。


「ラベンダー様!」


 なんとか少女にナイフが届く前に騎士が押さえつけたようだ。あぁ良かった…何処かの貴族の方かなぁ?うちの娘と同い年くらいだったけど…

横にいる娘に目をむけると妻に似たオレンジの髪を弄りながら笑いかけてくれた。

-----

 私は揺られた振動で目を覚ました。……あれ?目線が低すぎない…?


病院じゃない…窓ガラスに写ったのは銀髪の少女!?誰だこいつ!?


すると別の人の記憶?だろうかそれが流れてくる……?というのが1番近いだろうか……


ええ……何で私、ラベンダー・フローレスになってんの!?


ちょっと待って……

えっと……あの日は貧血が酷くて……学校の帰りにコンビニの前通って

……男の子を助けて……トラックが目の前に迫ってきて……


あぁ……もしかして……これはいわゆる異世界転生というやつなのでは……???


なんでよ!なぜこんな取り柄のない人間が!?しかも1年前にやりこんでた乙女ゲームの世界……!?


しかも悪役令嬢の姉でありヒロインのサポートキャラという謎なポジション。


……え?私にどうしろと?私は今11歳で妹が10歳か……

もう意地悪に育ってたらどうしようもないんだけど。


というか日本人異世界転生しすぎでしょ!しかもなんで「モブの中では存在感あるモブ」なのよ!微妙ポジやめて!


記憶がごちゃごちゃしていて思い出せないことが…えっと…


「ラベンダー様?大丈夫ですか?」


「ええ、大丈夫よ。マリア。」


マリアは私の教育係兼侍女らしい。彼女もまだ15歳である。刺されそうになったのにこんなに冷静だったらおかしいな

……11歳だし。なんか魔法?を使ってたぽかったけど。


「ラベンダー様。もうすぐお屋敷に着きますから。」


それから2、3分馬車を走らせると家に着いた。

馬車を降りるとお母様が抱きついてきた。超黒髪美人!綺麗な髪だなぁ…


「ラベンダー、大丈夫だった?怖かったでしょう。」


「お母様、どうして私が刺されそうになってたのわかったの?」


「連絡魔法よ!マリアは魔法も使えるんだから!」


魔法!自分も使えるようになればなぁ……なんか異世界転生してきた実感が湧いてくる。


「お姉様!!大丈夫でしたか?」


えっっっっ……かわいいいいいいいいいい!!!!

天使!?この子は天使ですか?

悪役だなんてとんでもない!!!


柔らかい黒髪の対になる真白の肌に宝石のような赤い瞳。


笑顔がもう…ああああああああぁぁぁ…

よし!決めた!この子、ローズ・フローレスを完璧令嬢にしてみます!


「お姉…様?」


「大丈夫よ。ローズ。」


やっぱかわいいいいいい!!中等科入学までの3年までに……


殿下が惚れてしまうようなかわいい女の子にしてみます!!

絶対悪役になんてしないんだから!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る