第35話 優しい嘘 (ロータス視点)

馬車に揺られながらふと思う。




『大丈夫だから……』




彼女……ラベンダーの大丈夫はいつも嘘ばかりだ。


彼女は家族にさえ弱みを見せようとしない。


でも……あの時……


ラベンダーが倒れた時。


ラベンダーはあんなに細い華奢な体で何を抱えているのだろう。


彼女の大丈夫は優しい嘘。その優しさは人のため?それとも……




「ラベンダー、お前薄着すぎ。これ、着とけ」




こんなにも不器用な自分がどうも嫌になる。彼女の優しさに俺じゃあ応えられねぇ。




「……ありがと。」




照れ隠しのように少しぶっきらぼうに微笑む姿に胸が高鳴る。


そういえば泣き顔を見た時から不思議な感覚に襲われる……




「私……今幸せだから」




その言葉に偽りはなく。彼女の心からの言葉を聞けることに俺は……きっとみんなも幸せを感じた。

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