あの花の名を知る術はなく

　双子の姉弟がいた。
　病弱な弟のために姉はお手製の絵本を読み聞かせる。
　仲の良い姉弟だった。こんな関係がずっと続くのだろうと二人は考えていたが――。
　両親の死によって日常は終わりを告げる。
　叔母に引き取られた二人に待ち構えていたのは地獄とも思える虐待の日々だった。
　弟を庇う姉。姉に守られるだけの弟。いつしか弟の心に暗い影が差し込んでいく。
　暗い影が形を成したとき、それこそが終わりであり、始まりでもあった。

　異能と呼べる力に目覚めた一部の人類は、それまで空想のものだと思われていた【超能力】といえる能力を手にしてしまった。
　超能力に目覚めてしまった弟は暴力を振るわれる姉を助けようと超能力を暴走させてしまう。その結果、叔母は死に弟は逃亡。
　姉は弟を追いかけるが、目の前で弟は謎の…続きを読む