第1話 白猫三姉妹

あらゆる災いが詰まった箱がありました。

神様から、箱を授かった人類最初の女性「パンドラ」は好奇心でその箱を開けてしまいます。

すると、飢餓・疾病・憎悪…中に入っていたすべての災いが次々に地上に飛び出してしまいました。

パンドラが慌てて蓋を閉めたら、箱の中には希望だけが残ったといいます―。



ここは〝月夜ノ村〟四方を山に囲まれた、小さな村。

学校へ行ったり、仕事をしたり、宴会をしたり。

この村では、たくさんの動物たちが人間と同じように、毎日楽しく生活をしています。

月夜ノ村にいる動物たちは、色々な所から流れてきた動物たち。たぬき、うさぎ、あひる、カラス、くまにねずみ。他にもたくさん。それぞれ種族は違いましたが、みんなで助け合い生活をしています。

そんな月夜ノ村で、はじめての出来事が起きました。

その出来事とは…出産。村で初めて、子供が生まれたのです。



「みぃ!」

「みぃ…」

「みぃ~」


それぞれ特徴的な産声を上げたのは、3匹の白猫。

夫婦でこの村に来た猫が、3つ子を産んだのでした。

子は宝。幸せの象徴。村の動物たちは、みんなで喜びました。

三毛猫のお母さんと白猫のお父さんの間に生まれた子猫達は、みんな真っ白な毛をしていました。そして驚くほどそっくりな3つ子でした。


優しいお母さんとお父さんの愛に包まれ、3匹はすくすくと育っていきます。

子猫が生まれてから2つめの季節。母猫と父猫はある問題にあたり困っていました…。



「お母さん、また間違えた!それやったの私じゃないのに!」


「私でもない…」


「あら、ごめんね。」


割れた花瓶を見ながら、三毛猫のお母さんは申し訳なさそうにしています。3匹は親ですら見間違えるほどそっくりな外見。村の動物が間違えるのは日常茶飯事でした。

今日も花瓶を割った姿を見た三毛猫のお母さんは、一匹の猫を叱りました。

しかし、その子は花瓶を割った子猫ではありませんでした。


「物を壊すのは、決まってあの子!」


「柱の陰に隠れてるけど、しっぽが出てる…」


2匹が指をさした、その先には柱。その柱からは真っ白なしっぽがにゅっと生えていました。


「見つかっちゃった~。お母さん、ごめんなさい~。」


謝る子猫を見て、三毛猫はため息をつきました。


「はぁ。我が子ながら似すぎてて…見分けがつかない時があるわ…どうしましょう?」


三毛猫が視線を送るその先では、白猫のお父さんが本を読んでいました。


「そうだなぁ、一度相談してみるかぁ。」


読んでいた本を置き、白猫のお父さんが立ち上がります。


「誰に相談するのです?」


「黒犬さんだよ。魔法使いの。僕たちの知らない知識をたくさん持っているからね。」


そういうと白猫のお父さんは、家を出ていきました。


「いってらっしゃーい!」

「いってらっしゃい…」

「いってらっしゃい~」


三匹の子猫が手を振って見送る中、白猫のお父さんは森に向かって歩いていきました。



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