第8話 悠久の月明り
大嵐から一か月。村は元通りになりました。
そして、今日は村の復興祭。広場に集まり、動物たちの宴会が始まります。
今日は祭り!
飲んで食べて、踊って騒げ!
お酒を飲む動物。歌う動物。演奏する動物。踊る動物。ひたすら食べる動物。
嵐を語る動物。それぞれがはしゃぎ大騒ぎ。
わいわい楽しい宴会場。うさぎがふと気付くとたぬきの姿が見当たりません。
どこにいるのか、うさぎにはわかります。
うさぎも宴会場をあとにし、歩きはじめます。
目的地は・・・星空の良く見えるあの丘。
「やっぱりここにいた。」
「うさぎちゃん」
たぬきはおかのてっぺんに座り空を見ていました。
「今日は雲がかかっていて星も月も見えないね。」
たぬきの横に座り、うさぎが話しかけました。
「バタバタしてて、ちゃんとお礼言ってなかったね
あの時は、本当にありがとう。」
「恥ずかしいから、いいよ」
たぬきは照れ臭そうに返します。
「あの時、たぬき君がどんな星より光り輝く、大きな存在に見えたよ。」
「これからも、一緒に仲良く過ごそうね。」
「うん」
たぬきは恥ずかしいからか、空を眺めたまま返事をしました。
「あ!」
その瞬間、雲が晴れていき。満天の星空が顔をだしました。
キラキラ輝く無数の星の中にひとつ、ぽっかり浮かぶ大きな弧を描いた月。
そんな月を見つめながら、たぬきが小さく呟きました。
「今日も〝綺麗な〟三日月だ。」
こんな話を知っていますか?
人間たちの知らない、山々に囲まれた地に、動物たちが暮らす村があります。
夜になると、その村には2つの月が出るそうです。
空と地上に綺麗に光り輝く2つの三日月が―
END
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