第6話 欠けた花びら
あひるが荷物運びを終えて空き地に向かっていると
空き地の方から声がしました。
「やーい、ヘンな花―。」
「しゃべるなんて、ほんと変なの。」
あひるは嫌な予感がしました。
急いで空き地に飛んでいくと、そこには花を囲むカラス達の姿がありました。
「やめて!」
声をかけると同時に見えた花は、花びらが少し欠けていました。
あひるは怒りました。
バサバサバサッ。
あひるが大きく羽を広げると、カラス達は空へ放り出されました。
あひるは、いつも荷物を浮かせているその力をカラス達へ向けて使ったのです。
「うわっ!」
「なんだこれっ!」
「逃げろー!」
空へ放り出されたカラス達は、バランスを崩しながら棲家のある山の方へと飛んで行きました。
花の隣に立ち、あひるはグスグスと泣き始めました。
「私は大丈夫だから。」
花びらが欠けたその姿に、涙が止まらないあひる。
「こんなの、おかしいよ。」
「ワタシ、神様のところに行く!いじめを無くしてもらう!」
あひるはそう言うと、空に向かって飛び立ちます。
「え!?」
花は声を掛けようとしましたが、大きな声が出ません。
その時、空き地の近くを通りかかったうさぎが、空へ飛び立つあひるを見つけました。
「あ!あひるさん。今日はありがとー!」
しかし、あひるは一切構いませんでした。
あひるにとって、花が傷ついた姿は何よりもショックで、何とかしたいと思い詰めていました。周りの声も届かないほどに。
「神様は、空の向こうにいる!」
あひるは空の向こうを目指して、飛んで行きます。
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