第4話 黒犬の魔法使い

たぬきは魔法使いの家まで戻ってきました。

ドアをノックしても誰も出てきません。


「ちょっとだけ…ごめんなさい!」


どうしても読みたい本を見つけたたぬきは、魔法使いが帰ってくるのを待っていられませんでした。

いけないことだとわかっていましたが、魔法使いの本を読み始めます。

たぬきが本棚から『変化の魔法』の本を取り、読み始めた時、ドアの方から声がしました。


「何をしているのですか?」


ドアの前に立っていたのは、黒い毛に黒いマジシャンハット、スラっとスタイリッシュな体つきで目つきの鋭い犬でした。

この家の主、黒犬の魔法使いが帰ってきたのです。


「あ!」


『変化の魔法』の本を片手に黒犬と向かい合うたぬき。


「あなたはなぜここにいるのですか?」


「道に迷っちゃって…」


おどおどとこたえるたぬき。

『嘘をついている』それが誰にでもわかるような態度でした。


「嘘はいけませんよ。」


「本当の事を教えてください。」


そういうと黒犬は、スッとたぬきの方へ手を伸ばし呪文を唱えました。

一瞬、たぬきが光に包まれると、黒犬は手をもとの位置に戻します。


「もう一度聞きます。あなたはなぜここにいるのですか?」


黒犬が再度問いかけます。


「あの、道に迷って…」


ググッ

答えるのと同時に、たぬきの鼻が少し伸びてしまいました。


「嘘をつくと鼻が長くなる呪いの魔法を掛けました。

あなたの成長の為、少し学んでください。」

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