番外編 クリスマスプレゼント
今日はクリスマスイブ。
村の学校では、放課後に動物たちがクリスマスのお話をしています。
「たぬきくん!明日はクリスマスだよ!プレゼントのお願いはもう書いた?」
「うーん、まだー。欲しいものが多くて決められないよ~。」
「欲張りはダメだからね!一個だけだよ!」
うさぎは、人差し指を立てながらたぬきにウィンクをしました。
うーんうーんと悩みながらたぬきはその場を行ったり来たり、うろうろしています。
「うさぎちゃんは、もう決まってるの?」
「うん、決まってるよ!先に書いちゃうね~。」
うさぎはすらすらとプレゼントのリクエストを書くと、それを手際よく折り、赤い靴下の中にしまい込みます。
その様子を、チラチラと気にしているたぬき。
「あ、たぬき君、見ちゃだめだからね?見たらバチがあたるからね?」
うさぎは、スッと立ち上がりました。
「ちょっと先生のところに行ってくるね。」
うさぎは、赤い靴下を机の上に残し、廊下の方へと歩いていきます。
見ちゃだめだと言われると、余計に気になるもの…
たぬきは、そっとうさぎの机の上にある赤い靴下に手を伸ばしました。
「ちょっと見るだけなら、バチなんて当たらないよね?」
たぬきは、赤い靴下の中に入っている紙をそっと広げました。
そこに書いてあったのは…
『伸びる鼻』
たぬきはぎょっとしました。なんとも言えない表情で固まっているたぬき。
その様子をドアの影に隠れながら、うさぎが見ていました。
「ほら、バチが当たった~。」
悪戯な笑みで近寄ってくるうさぎにたぬきは応えます。
「うさぎちゃん、ひどいよ~。」
全身脱力するたぬき。
「絶対に見ると思った。」
クスクス笑いながら、うさぎが続けます。
「でも、伸びる鼻は、私にとって大切な思い出だよ!」
「今日も一緒に星空を見に行こうよ!」
たぬきは少し照れながら首を縦に振りました。
「うん。」
今日はクリスマスイブ。月夜ノ村の天気は晴れ。
夜には、とても奇麗な月が見えるでしょう。
大きく弧を描いた、素敵な三日月が。
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