三日月

第1話 たぬきとうさぎ


「僕は、三日月が嫌いだ。」


「三日月と僕は同じだから。綺麗なんかじゃない、ただ足りないだけの存在なんだ。」






ここは〝月夜ノ村〟四方を山に囲まれた、小さな村です。学校へ行ったり、仕事をしたり、宴会をしたり。

この村では、たくさんの動物たちが、人間と同じように、毎日楽しく生活をしています。



コケコッコー!

ニワトリの鳴き声で動物たちは目を覚まし、活動をはじめます。



とことことゆっくり歩いてくるのは、たぬき。気弱で泣き虫だけど、とても優しい子。

『変化が出来ない半人前』とたぬきの村を追い出されてしまい、この村に来ました。



「おはよー!」

たぬきに元気よく声をかけて近づいてきたのは、まっしろなうさぎ。いつも明るく元気で面倒見の良いうさぎ。

最初は落ち込んでいるたぬきを放っておけなくて面倒を見ていましたが、同じ楽しみを持つたぬきと、すぐに親友になりました。

たぬきとうさぎは、村一番の仲良し、朝から晩までいつも一緒に過ごしています。


二人の共通の楽しみは2つあります。

1つは学校。

二人は、一緒にたくさんの事を学べる学校が大好きです。


「うさぎちゃん、おはよう。」

二人は毎朝一緒に登校します。


「たぬきくん、ちゃんと宿題やった?」

たぬきのかばんを見ながら、うさぎが聞きました。


「あ…忘れてた…。」


「また?忘れん坊なんだから~、ちゃんと忘れないようにしなきゃだめだよ!」


朝日を浴びながら、何気ない会話をして歩く二人。


「うさぎちゃん、今日は何の授業だっけ?」


「今日は理科の実験があるよ!」

うさぎは、はしゃいで言いました。


「理科の実験、楽しいよね~。ボクも実験好き。」


「うん!なんだか魔法使いになったみたいで、素敵~!」


実験の話で盛り上がっていると、あっという間に学校に着きました。


学校には、たくさんの動物たちが集まってきています。みんなが席に着いたら、たのしい授業の始まりです!

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