第6話 疾走
安全な山道を行ったら、村までかなりの時間が掛かってしまう。
そんなに時間をかけていたら、うさぎちゃんは助からないかもしれない。
危険でも、村まで最短で行くしかない!
迷っている暇はない!覚悟を決めろ!
たぬきは自分に言い聞かせると、震える足を何度も叩き、そして覚悟を決め
村に向かって道なき道を全力で駆けていきます。
不安定な足場、倒れた木々、背丈以上に伸び覆い茂る草。
壊れた吊り橋、今にも崩れそうな崖。
障害物と化した自然がたぬきの行く手を阻みます。
襲い来る恐怖と体中に感じる痛み。
本当は辛い、不安で仕方ない
それでもたぬきは村に向かって進みます。
「泣き言なんか言っていられない。今は1秒でも早く!」
たぬきはどんどん加速していきます。
草木をくぐり抜け、倒木を飛び越え、崖を駆け降りていく。
うさぎを助ける。それだけを考えていました。
いつのまにか恐怖も痛みも不安もどこかへ消えていました。
そして、不思議な感覚をたぬきは自覚していました。
どう動けば一番早いのか身体がわかっている、そんな感覚。
それはまるで障害物がたぬきを避けている様でもありました。
「必ず助けるから。だから、また一緒にあの星空を・・・」
気が付けば、たぬきはもう山を抜けるところまで来ていました。
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