世界から《魔法》が失われた後の物語

かつて、魔法を使えるごく一部の存在が世界の支配者として君臨していたある時代。

魔法を持たぬ人々の哀れな境遇に同情した一人の魔女が人類に味方をした。

レドロネット・ザトラツェニエという名の魔女を中心に起こった「魔女狩り」と呼ばれる人類史上最大の大争乱は、100年続いた末に平民の勝利で幕を閉じた。

かくして、人類は歴史上初めて”魔法を使えぬ人々が、自らの手によって作り上げる”平和で明るい世界を手にしたのだった。

そして新しい世界が生まれるのを見届けた魔女は、またひっそりと世界のどこかへと旅に出たとされる。

魔女の行方は誰も知らない──。


そして今。
僕ことアクスウェル・ヴァン・ギャリックスは、そんな伝説が受け継がれる世界で平和な時代に生きている。

そのはずだった。