009.「九死一生」
外から見れば、最速かつ流れるような動作で二体を撃破し、脇目も振らずに次の獲物を探しに走るアンダイナスである。うわ何それかっこいい。誰か撮影して後で俺に見せてほしい。周りが無人なのが悔しい。
対して、操縦席の中では。
「っどーよこれ! やってやったぞゴルァ!」
『ユート、五月蝿いです。まだ二体しか削っていないじゃないですか、勝ったように叫ばないでください』
「水指すなよ、これならいけるんじゃね? 殲滅出来るんじゃね?」
『そうですね、予想よりも上手く操れているようで安心しました』
珍しく素直に褒めてくれるエミィさんだ。レアだ。
『ただ、加速も転回も優雅さに欠けます。ひとまずは無能から半人前、と認識を改めましょう』
「今まで無能って思ってたんだ!?」
そりゃ実際今まで無能もいいところだったけど。しかも地味に評価が上がってるものだから、拒否もできないし何だか悔しいのに嬉しい。
『下半身だけの操作担当ですから、妥当な評価ですね』
しかも上手いこと言ったって感じだ! くそ! 負けるな俺、何か言ってやれ!
「このツンデレメカ娘!」
言ってやった。ただし小声でだ。にも拘わらず、エミィは耳聡く聞きつけて俺に尋ねてきた。
『何でしょうか。その、つんでれ、というものは』
聞くな。こういう
なら何故使ったんだ俺。すごく後悔した。
「……俺の地元で、かわいい、とかそういう意味で使われてる言葉」
『……。そうですか』
あながち嘘とも言えない誤魔化しをすると、エミィは口籠もるかのようにそう言って、それきり黙り込んだ。
そして、そんな応酬を遣り取りする内に次の集団が目に留まる。
マントデア、アラーネア、ポルセリオの三種混合。突然動きを変えた俺達に、敵も陣形を整えようと動き続けている。こいつらも、距離を取るために後退している最中だった。
しかし、ブーストを織り交ぜて先ほどとはまるで異なる速度のアンダイナスに、その距離は縮まる一方。諦めて反撃を試みようというのか、奴らは足を止め。
俺も加速を止める。意を汲んだエミィが砲撃体制を整え、射撃。他の二体と比べれば良い的としか言えないポルセリオが、大砲の餌食となる。
今まで雑魚のように言ってきたアラーネアとポルセリオだが、それはマントデアと比較すればの話で、実際は十分な脅威だ。
まず、アラーネア。動きこそ劣化マントデアのような感じだが、こいつは一度接近した後が危ないらしい。マントデアよりもさらに細い八本の足は、それぞれが先端を鋭く形作られ、その上振動カッターの役割も併せ持つ。組み付かれれば、自在に操られる八本の足が機体にまとわりつき、獲物を八つ裂きにする。とはいえ、粘着性の糸を投げつけないだけまだ良心的だとは思う。
次いでポルセリオ。鈍重そうな体で、高速で動き回った上で射撃を加えるならば良い的だが、こいつの担当は他のバグに破壊された物の後始末だ。撃破されたリムの近くにこいつがいた場合、まず間違いなく捕食される。別名
最後にマントデアだ。動きは俊敏、大きな鎌状の腕は高出力のレーザーメスのような構造で、分厚い装甲リムだろうが巨大な輸送リムだろうが人だろうがネズミだろうが、一度獲物と定めたら相手が動きを止めるまで襲いかかることを止めない。砲撃すら回避できるのは、こちらの射撃前に発生する高出力の磁場を感知しているのだという。コンマ二桁秒のタイムラグすら感知するのだから、単機では近距離からの砲撃か、より広い範囲の面打撃が可能な強化質量砲しか打つ手がないわけだ。反則か。対して構造は比較的脆弱なのと、続けての跳躍が出来ないのが弱点だ。
こうして並べると、同じクラス3と称される個体でも、その特性により脅威の度合いが大きく異なることがわかる。というか、大きさだけで強さを計るなんて、無理矢理過ぎて欠陥制度じゃないか? なんてことを言うとエミィは、
『リムでの戦闘に限って言えばその通りですが、それ以外の被害も比べると一概には言えません。単位時間での人的被害ならば、ポルセリオは群を抜いています』
とのことだ。確かに人口密集地にあれが現れることを考えると、薄ら寒いものがある。
ポルセリオを撃破した後、アンダイナスは再度ブーストを使用して加速。少しずつだけど、この加速にも身体が馴れてきたような気がする。対して、正面方向のアラーネアとマントデアの動きは対照的だ。
アラーネアは、こちらの接近に対して後退を選択。飛び跳ねて後方に逃げる。それに対してマントデアは、反転して接近を開始した。
『いい的ですね』
右腕が構えられ、大容量の
砲口から飛び出す時には、マッハ5を超える超音速と化して無謀な突進を行ったマントデアを襲う。
敵を無残な金属塊に変えた破壊力は、大した減衰もせずに尚も直進を続ける。向かった先には、後方に飛び退ったアラーネア。
「一石二鳥。いや、二虫か」
『統制されても、基本的な思考能力は元のままですね』
ほっとしたような声で、エミィが言う。
こっちの死角を突くような真似が出来るのも、足の速さが似たり寄ったりな間だけだ。そこで圧倒できるようになった以上は、こんなに散開していては各個撃破の獲物にしかならない。
光明が見え、さらに強まってきたように思う。
残り二十体。一気に片付けるには、
「残るノルマは三匹か」
そう楽観的な声を出し、しかし、すぐにそう簡単にはいかないことを知る。
包囲が狭められてきたのだ。
◆◆◆
今、このバグの集団を統制しているのが、人間またはそれに近い知性を持つ存在なら。
仮定の話だ。しかし、十中八九は人間だと思う。電脳人か生体人かはさすがにわからないが。
とはいえ、そんな親玉(仮)は焦り始めたんだろう。導入から趣向を凝らし、こちらが疲れても慢心せず確実に消耗させる手法を選び、それが今綻びを生じさせている。面白くないに決まってる。
相手を分析して、確実とした布陣は食い破られた。となれば、逃げ切られる可能性はあって不確実ではあるけど、物量頼みで潰す方向に切り替えるしかない。そんな意図を感じるわけだ。裏をかいたつもりが更に裏をかかれ、やけっぱちで正攻法。俺、こいつとはゲームとか絶対にしたくない。
ただ、状況は動いた。より単純な方に。
『突き破りますか』
「それしか無いでしょ。包囲が薄いのは」
視界の左側に点るマップを確認。右前方に二体のみ。視界から該当する箇所をポイント、拡大。
「マントデア二体、周辺がら空き」
下手に隙間を突いて突破しようとしても、目指す先のスペースを詰めて来られたら元も子もない。であれば、すれ違いざまに数を減らしつつ、突破を試みたい。それには、隣のグループとの間隔が適度に開いていて、交戦中に数が増えないことが望ましい。さらに言えば、足を止めたくないから三体よりは二体。
その条件に合致したのは、こいつらだけだった。狙うなら、ここ。
「ってとこまで読まれてそうな気もするけどな。隣との間隔が広すぎる」
『ですが、選択肢は他に無いでしょう』
「そういうこと!」
腹を決めて、加速を開始する。今までの行動パターンから、マントデアは接近されたら飛び掛かるか、飛び退く。走り去ることはない。狙うなら跳躍中か、または射撃を避けられない距離からの一撃。
先制攻撃ならまずは後者から、そう判断して適度に距離を取った場所で射撃体勢に入ったその時。
十メートルも離れず並んでいたマントデア二体が、揃って跳躍した。飛んだ先は、アンダイナスの右と左、共に斜め前側。
初めて見た、距離を詰めることを目的とした跳躍だ。
「エミィ、こいつら今までのと違う!」
告げると同時に、九十度転回。
様子見したいが、背後には他の個体が集結を始めている。時間をかけて背後を取られるわけにもいかない。となれば、確実に片割れを撃破して距離を取る。
エミィも判断は同じくしたようで、疾走しながらの射撃体勢に上半身が動く。片手が使えず落ちた速度を
そこに。
「出し惜しみし過ぎだろ……!」
連続して、二度目の跳躍を行ったマントデアが降ってきた。
◆◆◆
『間に合いません!』
何が、とは訊かない。射線上から急に姿を消したマントデアを追い切れないんだろう。
ペダルを離して急制動に入った機体と一緒に、慣性で身体が前に強烈に引っ張られる。頭が首から先で折れ、血が溜まっていく感覚。降り立ったマントデアは、着地の衝撃を逃がしているのか深く沈み込んだ体勢だ。連続した跳躍からの着地を想定した構造になっていないのか、衝撃を殺し切れずにフレームが軋むぎちぎちという音が聞こえたような気がした。距離は十メートルもない。
咄嗟に、
巨体同士の戦いは、人同士のそれに比べて若干緩慢だ。重量のある構造物が振るわれるのに同じ速度でとはいかない。故に、操作の結果にはタイムラグが生じる。早く動けともどかしく思う気持ちが先走り、
動いた。
それも同時にだ。マントデアは前進しつつ鎌を振り下ろし、対するアンダイナスは俺の操作をバックステップと解釈。華奢な足と地に着いたままの左手がここぞとばかりに根性を見せ、後方に、わずかに浮きながら数メートルの距離を稼ぐ。
このスケールサイズでは目と鼻の先ともいえるその距離を、眩く青白い光を灯したそれが、通り過ぎた。
鎌を振り下ろしたその姿が、頭を垂れるようで滑稽だな、と場に似つかわしくない感想を抱いている間に、今の今まで攻撃を諦めていなかったエミィが砲口を向けて、放った。
撃破したからといって一息つく暇も無い。俺は着地の衝撃も無視して、一刻も早く真後ろに転回するよう左側のペダルを踏み込む。なぜ左側かと言えば、もう一体が転回する方向に置き去りにされたからだ。結果からいえばこの判断に命を救われた。
無理な挙動を続けて行って振り回される体が、ハーネスに食い込む感覚。鋭い痛みを感じながら置き去りにされる視界の向こうに、今の攻防の間も距離を詰めていたのだろうもう一体のマントデアが飛びかかってくるのが見えた。ターンの最中ではバックステップの操作も間に合わない。
僅かな間にみるみると視界の中で姿を大きくするそいつが、空中でなおも鎌を振り上げているのが見える。届く。ここまで。
下手に切られて生き地獄を味わうなら一瞬がいいとか、死の間際には走馬燈と言うが瞬殺された時も見れるのかとか、そんなことを考えたように思う。目は閉じることができなかった。もう、あと、少しで、
目を逸らすことすら出来なかった視界に、その時突然巨大な柱が飛び込んでくる。いや、柱のように見えたのは
衝撃。
金属が勢いよく擦れ合うときの、ぎゃりっ、という音を千倍まで強めたような耳障りなものが操縦席に響いた。てっきり腕が二つに断たれたものと思ったが、しかし実際は弧を描くように縦長に浅く抉っただけだ。断面が赤熱し、すぐに冷めて地金が露出していく様が見える。何故逸れたかと言えば、腕の角度が鎌に対して僅かに斜めになっていたのと、左腕がマントデアの胴体に刺さるように突き出されていたからだった。
初日に見て以来の格闘戦だった。思わず拍手しそうになり、しかし腕は何故か動かなかった。視界だけはHMD越しに表示され続けているお陰で、目の前の攻防から離すことが出来ない。
あの時と違い、今は周りに気遣う生身の人間などいない。準備が良いと言うべきか、砲身を露出したまま突き立てられた腕に、エミィは言う必要も無いだろうにこう叫ぶ。
『
ゼロ距離からの砲撃に華奢な身体が耐えられるはずもなく、胴体に巨大な穴を穿ったまま、轟音を立てながらマントデアの残骸が地面に落下する。
それに対して何の余韻も無く、
『片付けます!』
何を焦っているのか、主語も無くエミィはそう宣言する。が、答えはすぐに見えた。両肩のミサイルベイが露出し、貴重だと言っていた残弾が惜しげも無くばら撒かれる。その殆どはこれまでの恨みとばかりに、残っていたマントデアに襲いかかり、残りも数体のアラーネアが頂戴する羽目となった。
何時の間にかコントロールは完全にエミィに移っていた。そこから先は鮮やかなものだ。
まずは、満足に使える左腕からの射撃。立ち止まりながら普段より多少時間を掛けたそれは、精密さに於いてこれまでの射撃より比類無く鮮やかに、遠くから近付いてくるポルセリオに吸い込まれ、爆散。
さらに、ほとんど間を開けずに両肩の一部と胸部、腹部両脇のパネルがスライドした。
現れたのは、直径三十センチ以上はありそうな巨大な魚眼状のレンズだ。併せて俺の視界に、残った十体のアラーネアとポルセリオに対して、逆三角形のロックオンマークが灯るのが見える。
最後の仕上げか。
悟った次の瞬間、高出力により空気を電離することで可視化されたレーザーが光条となり、生き残り達に突き刺さり、数秒後に光が途切れると同時に、幾つもの爆発が視界の中で起きる。爆炎に照らされて、これまで顧みることもなく踏み荒らされた農場がその惨憺たる有様を露わにした。二桁のバグと一機のリムが踏み荒らし、穿ち、抉った地面は荒れ果てて、元の整然と農作物が並んだ畝は見る影もない。
HMDの中の視界でぼんやりとそれを眺めていると、リチャージタイムとやらに入ったんだろう、射撃姿勢のまま掲げられていた左腕が普段に比べて幾分緩慢な動作で下ろされる。
それを見てようやく終わったという実感が生まれ、
――レーザーって、銃のかたち、してないんだな
しかし浮かんだ感想は、そんなどうでもいいことだった。
◆◆◆
これまでの大立ち回りが夢か何かだったみたいに、辺りは静寂の中だ。それは勿論操縦席も同様で、微かにホワイトノイズだけが響く室内は、勝利を飾ったにしてはあまりに呆気ない。
いつもなら直ぐにでも声を掛けてきそうなエミィも、しかし沈黙したままだ。ようやく修羅場を超えて、こうして生き残ることができたんだから、一言あってもいいだろうに。
――エミィ、
声を出そうとして、しかし掠れたようなか細い声しか出なかったことに、我ながら驚いた。声を出すために肺から息を出すその動作が、ひどい痛みを伴っている。
何やってんだろうな、俺。
この世界にやって来てからというものの、四六時中誇張無く側に居た少女が居なくなって、初めて得た一人の時間だった。ここでようやく俺は、これまでの数日間を俯瞰することが出来ていた。
気が付けば薄暗い部屋、目の前で繰り広げられたロボット同士のバトル、言われるがままに乗り込んで、その後は成り行き任せでここまで来た。帰れないとは言え、普通に考えれば、目的は言えないけど世界を見て回ってこい、なんてこと言われたところで不気味さが上回って拒否するのが筋だ。そうする機会はいくらでもあった。レイルズと初めて会ったときに、近くの街まで連れて行ってくれとでも言えば、もしかしたらそうなったかもしれない。それ以前に、エミィからの進言に従ってどこかの街まで行って別れると機会もあった。
非現実感しかないこの状況を、楽しんでいなかったと言えば嘘だ。エミィが人間に戻りたいと言ったことに協力を申し出たのも本心だ。でも、それだけじゃない。
俺は、この状況をどこか他人事に感じていて、目の前で起きる何もかもをゲーム画面の中か何かのように考えていた。いざとなればリセットしよう、そうすればまた退屈で起伏も無くしかし平和な元の居場所に、
どうやって戻ればいいんだ。そんな当たり前のことに、今気付いた。リセットボタンなんてどこにも無い。どうやってここに来たのかも知らないし判らない。エミィに付いていったからってその機会があるのかすら。
満足に動かせない身体とろくに出せない声という、今そこで死を間近にしていたという、その事実が俄にこの状況が現実なんだと思い知らせてくれる。
痛みの原因に心当たりを見付けようとしたその時に、未だに外の景色を写し続けるHMDの奥で、何かが蠢いた。
小山のような大きさで、丸みを帯びた、漆黒の体躯。今までこんなものが居たことに、なぜ気づかなかった。目を動かして、さっきまで多数の敵を映し出していたマップに目をやって、しかし、そこには何もない。
体が逃げることを求めて、しかし動かない。思い返せば今は、アンダイナスも全ての力を使い果たして満足に動けない。
エミィ、エミィ。どこだ。今、そこに。敵が。
いつの間にか手放していたスティックを求めて右手が小刻みに動き、足がペダルを踏もうとぺたんぺたんと力なく上下し、左手がせめて少しでも相手の姿を捉えようと、
動いた。視界の中で、奇跡的にポイントしズームされ、広く映されたそれ。そこにいたのは、いつか遠目で見た巨大なカミキリムシの姿。
指揮個体。ふと、何となく頭の中でその言葉が浮かんだ。
――来るな。
声に出せず、しかし心の中ではありったけの力を込めて悲鳴を上げ、そしてそれはこの世界で初めて正しく感じた恐怖だった。
この瞬間、こいつは何も出来ない無防備な俺を、一瞬で殺すことが出来る。そう悟ったが故に、俺は今この時になって、初めて明確な死を意識した。そして、これまでに起きた何に対しても、本当の意味での恐怖を感じていなかったことに気付いた。
今まで、得体の知れない場所で目覚めようが何の目的も伝えられずに世界を見て回れと言われようが例の計画とやらの渦中に居ることを知らされようが二桁の敵と立ち回ろうが死を覚悟するような状況に陥ろうが、どこか他人事のように流されるまま動き続けた俺が、今この瞬間、これまでのことも含めた全てに対して、ただ恐怖した。
怖い。ここに居たくない。何でこんな目に遭っているんだ。俺をこんな所に連れてきたのはお前か。いやだ。帰せ。俺を元の場所に還せ。
それが届いたのかどうか。
それは、巨体に見合わない速度で、音も立てずに後ろを振り向き、消えた。
「――ユート!」
代わりに、耳元にすっかり馴染んだ声が届く。声とともに現れたのは、つり目がちだが愛らしい造形の少女。
「エミ、ィ、」
痛みを堪えて喉を張って、それでも絞り出せたのは囁き声のような音。だが、彼女はそれを聞き逃さない。
「大丈夫ですか、今レイルズに助けを求めました。今こちらにむかっていると、あ、あ、血が」
どこから出血しているのか、体が動かせなくて自分ではよく分からない。何だか鼻で呼吸するのがつらい。鼻血か、これ。そのくらいで大袈裟だな、いや
これまで見せてきた冷静な声とは似ても似つかない、みっともなく狼狽えた声を聞いて、今の今まで感じていた恐怖が霧消していくことに気が付いた。人型の精神安定剤だ。この子が側に居ると俺は、それが良いことか悪いことかは判らないが、ネガティブなことがすっかり考えられなくなるらしい。
エミィは尚も、ユート、ユート、と俺に呼び掛け続ける。そういえば、名前を変えたって言うのに、こいつは何故か俺の呼び方を変えていない。ニューゲーム感覚で、新しい名前で新しい俺になってやろう、なんていう頭が悪いにもほどがある理由でやらかしたことではあるけど、少しくらいは合わせてくれてもいいのに。
まぁいい。その辺りを問い詰めるのも。
次に目覚めた、その後でにしよう。
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