第29話ブラックアウト
私は扉を蹴破ると倉の中へと入った。
中に入ると棚がありその上に瓶に入った頭部があった。それらは二つありコプコプと空気が注入される音に混ざってくるくると回転していた。
倉の奥には神崎稔がいてヘラヘラと声を出して笑っていた。
「何で俺が犯人だって分かったんですか?順子さん」神崎稔はそう言い笑い続ける。
「ごめんなさいね、私は魔法使いなの」その時プロペラの音が耳がつんざくように聞こえ倉の一番奥に扉が現れた。そして扉はバタンと音を立て内側へ向けて開かれる。扉の中は暗黒だった。
私の心の中の硝子細工の扉もまた同じくバッタンと音を立てて開いた。
神崎稔は扉を振り向き大きな声を上げ笑い続けながらその暗黒の中へと走って入っていく。
遅れて入ってきた薫風が「首が・・・首が瓶の中で浮いてる・・・」と言った。
「あなたは外で待ってなさい。私は異界に入って彼を追いかけるから」薫風を見ると呆然と顔を青白くさせ立ち尽くしている。
私は薫風の肩を揺さぶり「しっかりしなさい!」と言った。それでも薫風は黙ったままなので唇に舌を入れてキスをした。
薫風の目が開かれる。
「順子さん・・・セカンドキスです・・・」と薫風はまばたきを数度繰り返しながら言った。「それも舌を入れた・・・」
「あなたは家に帰りなさい。私は必ず帰ってくるから」
「異界という場所に行くんですか?私も行きます!!」薫風は大きな声でそう言った。
「これは魔法使いの仕事なの!あなたに出来ることは何もないわ!」
「私も手伝います!」薫風の決意は固いようだ。この子は絶対に私についてきたしまうだろう。
そして私は異界の扉の中へと入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます