第42話穴ぼこの開いたテーブル

夏子がテーブルの上の残骸をテキパキと片付けると元のテーブルに穴ぼこが一点付いている物となった。

「この世界にはどのくらい滞在するの?」

「一週間、資金もそれくらいしかないの。一週間経ったらまた元の世界に一旦戻るわ」

 夏子はライターをいじくりながら「一週間ね。分かった」と言った。「そういえば、薫風ちゃんはご両親に家を不在にすることは言ったの?」

「あ、そういえば。言ってないです・・・」と薫風は言い「帰らなくちゃ駄目ですかね?今直ぐに」と聞く。

「仕方ないわね。私も忘れてたことだし、二人で旅行に行ってたことにしましょう。上手く丸め込むわ、あなたのご両親を」と私は言い。夏子はライターの蓋を開けて火をつける。

 そしてタバコには火を付けないでその火を夏子は見つめながら「その犯人の家に行って何処に犯人が行きそうなのか調べない?」と聞いた。

「それが良いかもしれないわね。この世界じゃなくて私達の世界の彼の家よね」と私は言う。

「そう」カチャリとライターの蓋を閉めると火が消えた。「その時に薫風ちゃんの両親にも旅行に行くと知らせるといいわ」

「ちゃん付けはやめてください」薫風が不服そうに言う。

「あら、ごめんなさいね。薫風さん。それじゃあ出掛けましょうかあなたの世界に」と夏子は微笑しながら言った。

 そうして私達は神社を後にし、神崎稔の家の倉に向かうことになった。夏子は動きやすい服装に着替えるとのことで私達は神社の外の階段下で待っている。

 不意に私のスマホが着信音を鳴らした。私はそれに出る。

「順子、異界の先に行ったのか?俺も異界の先に行った。全く顔面真っ青なほどに路面が紫色だぜ」出たのは同僚の魔法使いだった。

「今来たの、あなた?」

「ああ、そうだ。色々準備が必要だったからな。電波が通じているようで良かった」

「犯人は神崎稔という男よ。今からこの世界の魔法使いと一緒に元の世界に戻って彼の居所が分かるようなものを見つけに行こうとしてるの」

「ああ、犯人は知ってる。犯人の家族が警察に通報して倉が封鎖されている。まあ、警察が来る前に倉にある異界の扉を隠しておいたがな、幸いなことに。テレビでもニュースになって大変、大変。指名手配犯だよ」

「そうなの」私はそう言い唇に手を当てる。

「で、今何処にいるんだ?」

「神社の階段の下よ。この世界の魔法使いは神社の人だったの。今その人が来るのを待っている所」

「そうか。俺は俺でこの辺を探索してみる。じゃあな、また連絡する」彼はそう言って。電話を切った。

「誰からです?」薫風がそう尋ねる。

「同僚の魔法使いからよ。この世界に着いたみたい。元の世界では神崎稔は指名手配犯で、警察に追われているようよ」

「この世界でも指名手配犯になれば、警察の人も追ってくれるんですけどね」と薫風は言う。

 すると階段から夏子が降りてきた。服装は白色の長ズボンにそれより白い無地のTシャツだった。上空で飛行機が飛ぶ音が聞こえた。空を仰ぐと青空に飛行機が飛んでいた。

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