第7話首切り

 少なくとも舞台の上で首を切られたのではない。ここの床には血痕が付着していなかった。

 私は舞台を下り見回す。体育館中央部のやや右側に薄っすらと血痕が付いているのが分かった。犯人はそこで堂々と少女の首をかき切ったのだろう。

 私はそこへと近づく。

 おびただしい血の量が直径1m50cm程広がって残りこびりついていた。ここで何かノコギリのようなもので切断されたのだろう。

 私は魔法を使い犯人の思考を読み取ることにした。

 ・・・それによると犯人は首をコレクションしようとしている。その魔法では朧気な思考をキャッチするだけで声や顔、犯人を認知出来る事は何も出来なかった。首を家に持ち帰り、棚に飾るのだ。

 つまり次も殺人は起こるのであろうことを告げていた。

 犯人は男か女かも分からない。

 次は止めなければ。私はそう決意する。もうここには読み取れるものはない。体育館を出ようとそこから離れた。ふと立ち上がると入り口のドアが開くのが分かった

 ここから隠れようとしても体育館の中央部である。しかし体育館の中は暗闇で閉ざされていることに思い当たり私は息を殺しそのまま立ち続けることにした。


 体育館の外から現れたのはやはり少女であった。もちろん、首を切られた少女とは別の少女である。

 制服ではなく白地に深い紺のストライプが入った服と藍色の膝下まであるスカート、靴は黒色である。

 顔は可愛げであり眉毛が少し薄く天使の羽のようにふわっとしており、目はほんのり丸くビー玉のようであった。

 彼女は私に気がついてない。体育館中央部に立っているこの私に。

 やがて館内が暗闇でいくら目を凝らしても何も見えないことに気付くと静かに出ていった。

 パタンとドアが閉まった。

 私はそれを合図にゆっくりとドアへ近づく。靴の履いてない足が汗でじんわり湿ってることにふと気付いた。

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