第17話 僕の友人は馬鹿である。
「どうかした?山梨君顔色悪いが」
賛同君が僕の顔を見るなり言った。
「いや、なんでもないよ」
ぼくはにっこり笑った。
「おい!山梨ちょっとこいよ」
山岩君が急に珍しく僕のことを呼び付ける。もう嫌な予感しかしない。
「山岩君、今山梨君は具合が悪いんだ。だから今はこの僕が君の相手をしてやろう」
何故か偉そうに賛同君が、山岩のところに行ってくれる。山岩君の叫び声というか、怒鳴り声が教室に響いた。
「おいお前百合先輩と何を話しているんだよ?」
このクラスで山岩と仲がいい複数のグループの内の山際猛が、僕に話しかけてくる。山際の周辺に山岩のグループの男子たち集団で僕を取り囲む。僕は嫌な予感に、冷や汗をかいた。
「別に」
「詳しく聞かせろよ」
山際が僕の頭の毛を掴んで引っ張り上げてきた。激痛が走って僕は呻いた。
「お前最近賛同と一緒で調子に乗っているよな。放課後顔かせや。教室にいなかったら、次どうなるかわかってんな?」
僕は所詮、賛同君と違って弱い。痛みは大嫌いなのに、もしかしてここで死ねるかもしれないとほっとしている僕がいた。
「山梨君!」
賛同君が僕の方へやってきた。山際は舌打ちして僕から離れていった。
「大丈夫かい?山梨君。随分乱暴されていたようだけど」
「放課後教室のこいって。はは。怖いよ」
「仕方がない。山梨君は大切な友人だ。山瀬君達を成敗しよう。僕自らが手を出すんだ。山瀬君達は喜ぶだろう」
山瀬君達はマゾなのか?そんな疑問が僕の脳裏に浮かぶ。黒田さんはサディストなので、山瀬たちとお似合いだなと、僕は考えた。
「ありがとう。賛同君」
「ありがとう、山梨君。君ほどの僕への讃美者はいないよ」
「賛美者?どういう意味?」
「僕を崇めてくれる存在さ」
「・・・・崇める?」
「僕は神に愛されているからね」
まぁ、なんでもいいやと、僕は微笑んだ。
それから放課後僕は、山瀬君達に呼び出された。もちろん賛同君も僕と一緒にいてくれた。
賛同君は一撃ずつで山瀬君達を仕留めてくれた。僕も一応は男だし、賛同君だけに頼るのは申し訳ないので、僕も参戦して山瀬君の友達に思いっきり殴られた。やはり僕は弱かった。
「いたたた」
「すごい山梨君の頬腫れているね」
「賛同君は無傷だね。逆にちょっと怖いよ」
「僕は軍隊経験者に、人の解体方法を教わっているからね。今度山梨君にも戦い方教えようか?」
「ぜひ頼みたいね」
「山梨君途中まで送って行こうか?」
賛同君と僕の家は反対方向にある。
「いやいいよ。僕一人で帰るから。今日は本当にありがとう。じゃぁね」
「ああ。また明日」
別れの挨拶をして、僕と賛同君は別れた。
だが別れてすぐに僕は後悔した。やはり賛同君に家まで送って行ってもらえればよかったと・・・・。
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