第7話誰が彼女を殺したのか?解決

 事情聴取を終えて、警察署をでると、僕のお父さんが待っていてくれた。僕は泣きながら、お父さんに抱きついた。お父さんは僕の頭を撫でてくれた。


「勉。本当に無事でよかった」


僕は何度も縦に頷く。


「さぁ、早く家に帰ろう」


お父さんに腕をひかれ、僕は車に乗り込んだ。

何故かお父さんは車を発進させず、助手席にいる僕の方を見た。


「・・・・で、一体何があったんだ?勉」


 僕は何と言ったらいいのかわからずうつむいた。


「担任の井上先生に、包丁を向けられて、・・・・その」


お父さんに何されたなんてとても言いにくい。でもお父さんは真剣な目で、僕の方を見ている。言わなくてはと、僕は重い口を開いた。


「井上先生にキスされた」


お父さんは何も言わず車を、発進させて言った。


「帰ったら詳しく聞く」


お父さんの横顔はとても悲しそうで、なんだか僕が悪いことをしてしまったような気分になった。


 僕が殺されかけたこと、井上先生が佐々雅先生を殺したこと、佐々雅先生が校長先生の愛人だったことなどが、テレビで連日報道された。僕のお父さんからは質問攻めにされるは、学校のクラスの僕を盗み見るような視線で、僕は心底疲れた。

あれ以来僕はトラウマになってしまったのか、人が近くによると体が震えるようになってしまった。それで僕は精神科医に通うことになった。

そんな僕の精神的に疲れる日々でも、クラスの一郎君は、なんら変わらず自信満々の一郎君で、見ていて癒されるし、コントのように面白かった。もう一郎君とは、体が震えてしまうので手をつなぐことはできなくなった。

その日も僕はぼんやり教室の窓の外の景色を見ていた。綺麗な花の景色だ。


「山梨君。今日僕の家に遊びに来ないかな?」


前髪を整えながら一郎君が、僕の前に現れた。


「うん」


まぁいろいろあったが、大好きな家族がいて、やっとできた友人がいる。それだけで十分だと僕は、涙ぐみながら笑った。

余談だが、僕が初めていった一郎君の家は、とても豪邸だった。

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