第16話僕の友人は馬鹿である。

百合先輩の家に出ると黒田さんが煙草をくわえて、僕のことを待ち伏せていた。

「なにか僕に用ですか?」

「俺は男には調教をしたことはないが、よければ君を気持ちよくさせることができるかもしれない。どうだ?」

「結構です」

僕にそういう趣味はない。

「消えたいのだろう?生命保険に入れば、俺が簡単に殺してやる」

・・・・金目的か。

僕のなかに真っ赤に熱い怒りが沸き起こる、僕は目の前の黒田という男を睨み付けた。

「純粋な死を、冒涜するな!」

そう怒鳴ると、僕はそこから全速力で走り出した。

 走ることに限界を覚えると僕は立ち止まり、激しい動悸がしている心臓の鼓動がおさまるのを待って、歩き出した。

一人街を歩く僕は、笑みを浮かべる。

 何が純粋な死だと、僕は自己嫌悪に陥る。

死は死だ。そこには何もない。だからこそ僕は死というよりも存在をけすということにあこがれ続けているというのに。

 存在の無と、僕自身の死は一緒ではないようだ。やはり死ぬしかないかも。百合先輩にはいっていなかったが、僕の家の両親は持病の糖尿病を患っている。糖尿病の薬を大量に飲めば、死ぬなんて簡単だろう。

まだどれだけ僕という存在をけせるか試してみたかった。

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