第12話 僕の友人の妹のこと 解決

次の日学校に登校した僕の前に、賛同君が現れて言った。

「可憐が君に会いたいと言っている」

「え?なんで?」

「それは分からない。昨日のことにお礼を言いたいと言っていた」

「そっか」

「今日暇かな?」

「少しなら」

「じゃぁ、山梨君を僕の家に招待しよう」

「・・・・うん」

「おい!賛同。俺も友達だろう?俺もお前の家に招待しろよ」

山岩が賛同君と僕の元にやってきた。そもそも山岩君は賛同君を虐めているのであって、友達でもなんでもない。

「すまないが、今日は山梨君に用事があるんだ」

きっぱり賛同君は断った。

「じゃぁ、今度俺をお前の家に連れて行けよ」

山岩のあきらめない言葉に、賛同君は溜息をついた。

「君は本当に、僕のことを好きだな。しかし僕は君のことを好きではない。あきらめてほしい」

「ああ?」

すさまじい山岩の怒りの表情。

山岩は賛同君に振られたのだった。僕はつい噴出してしまった。噴出した僕の方を、山岩は睨んだ。

「てめぇ、山梨、覚えておけよ」

 嫌な予感。僕は溜息をついて、山岩の去って行く背中を見た。

「大丈夫。山梨君は僕が守る」

賛同君は僕の肩に手を置いて、そういってくれた。

「・・・・ありがとう」

正直僕は、山岩君達が怖かった。


 「こないだは、ごめんなさい」

可憐が僕の顔を見るなり、頭を下げた。

何に対しても謝罪なのか、僕は分からなかった。

「あれから一崎先生に、お兄様を紹介するように私に頼んできたの。それで一崎先生への私の想いは冷めたの。お兄様にふさわしいのは一崎先生ではなく、山梨様だった」

「いやいやいや、賛同君にふさわしいとかただの友達の僕にないと思うよ」

「でもあなたお兄様とお似合いです。お兄様がそこかの女狐と結ばれるなんて考えただけで、鳥肌立つわ」

「だからって僕と賛同君はふさわしくはないと思う」

「これ私の携帯番号。誰にも、お兄様と家族にしか教えた上げたことないの。光栄に思いなさい」

「・・・・中山君には教えてないの?」

「中山?もしかしてあの山猿のことですか?お兄様も山梨もまさか、あの山猿にあったの?」

「君のことを心配していたよ」

「・・・・そう。あの山猿いつもこの私に説教をしてくるの。うざいったら」

「そう」

僕はその光景を想像して、微笑んだ。

「あなたにならお兄様を手渡してもいいわ」

「いや、いいよ」

「そうだ。あなたと私が結婚すればいいのよ。義理の兄弟になるの!私とお兄様の下僕でいて頂戴」

「いや、・・・・いいよ。下僕なんていってはダメだと思うよ」

「これからもよろしく頼むわ」

「可憐さんが結婚するなら、可憐さんが本気で好きな人がいいと思うよ」

「それもそうね。でもお兄様お美しいでしょう?お兄様小さいころから痴漢にあったり、いろいろ大変だったの。だから自信に満ち溢れたお兄様を傷つけない下僕が必要なの」

「・・・・」

優柔不断な僕は、苦笑いだけで済ますことにした。

「二人とも話は終わったかい?そろそろお茶をしよう」

賛同君がやってきて言った。

「そうね」

可憐さんと僕は話を終え、お茶を飲むことにした。

 庭で白いテーブルの上、賛同君は紅茶を入れてくれる。

「二人とも何を話していたんだい?随分仲良しになったみたいだね」

賛同君は全員に紅茶を注ぎ終わると、湯気たつティーカップをもって、微笑んだ。

「お兄様と山梨はお似合いってことを話していたの」

「そう。山梨君と僕とは、熱い絆で結ばれた友人だからね」

「いや、普通の友人だから」

僕は紅茶の匂いを嗅ぎながら、そう言った。

「僕の初めての友人だ。ねぇ、山梨君」

「なに?」

「僕は周りの人間が子豚や動物にしか見えないんだ。・・・・山梨君、僕はどうしたらいいと思う?」

賛同君の手が伸ばされ、僕の頬に触れた。はたから見たら怪しい光景だと思うのだが、きっと賛同君は僕という子豚の頬に触れている気持なのだろうなと、僕はげっそりする。

「・・・・僕が美しすぎるからいけないんだ」

「賛同君はさ、神に愛されているんだからさ、その愛を周りに分けてあげてもいいんじゃない?そうすれば周囲が豚だろうが動物に見えようが別に」

そう僕は適当に、賛同君に言った。

「分かった。僕は君を愛そう」

「いやいやいやいや、愛さなくてもいいから、人に親切位でいいんじゃないってこと!」

「山梨君は照れ屋だなぁ」

「そうだね」

「今度別荘に一緒に遊びに行こう、山梨君」

賛同君は早速僕に親切にしてくれた。

「私も別荘に行きたい。・・・・中山も仕方がないから」

ぽつりとつぶやくように言った可憐さん。

僕も賛同も微笑んだ。

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