第六話 旋撃の剣

第六話 旋撃の剣 6-1

 陽が昇り始め、徐々に外が明るくなっていくのを連人は欠伸を上げて見ると、炬燵の上に置いてあるパソコンの電源を入れた。

 昨日、自衛隊に身柄を拘束されるかと思いきやそんなことは一切なく無事に帰宅をすることができた。それと後から気が付いたことであるが、昨日の戦闘が終わってから真実の姿を見ることはなかったので、無事に帰ることが出来たのだろうと連人は考えた。

 とは言えども、今考えるべき問題は真実のことではないと連人は考えることにした。

 彼はそう感じて、ベッドの方へと視線をずらした。そのベッドにはここ最近でそこにいるのが当たり前となりつつある少女、愛が横になっていた。

「・・・・・・・・・すぅ・・・・・・・すぅ・・・・・・・。」

 の人間が寝息を立てる様に、ではない少女が寝息を立てていることに彼はホッと安心した。

 昨日はとにかく彼女にとっては大変だったに違いなかったはずなのだ。彼女がたとえ、大型機動兵器の制御用AIというではないとは言えども、疲れることには違いなかっただろう。そう思いながら、彼はつい先日彼女から渡されたを手に取って少し考えた。

 、このホルダーは、連人が、彼自身が思っているに彼を変身、その文字通りに、姿を変えることが出来る代物だ。だが、実際に使ってみれば、中に入っていたカードは手束連人の名前の通り、誰かと手を取り合って人と連なるものではなく、繋がりを断つようなモノばかりだ。

 誰かを守るためには、それは力も必要だろうと彼は思う。だが、同時に自分が自身の名前に無意識下のうちに不満を抱いているのではないのかとも同時に思ってしまうのだ。

「そう言えば、愛は・・・・・・・・・。」

 彼女が言っていたことを思い出してみる。


貴方マスターが願ったものとは違うかもしれませんが、は貴方の力です、。』


「俺の力・・・・・・・・・・って言ってたな、愛は・・・・・・。」

 そうなると、どういうことだろうと彼は考える。

 このカードホルダーはと言っていた。その言葉は恐らく事実なのだろう。そして、連人が自身の思っているよりもと思っていることも。

 となると、変身したあの姿がかなり頑丈そうな外見になっていることにも納得が出来そうではあるが、彼は納得したくはなかった。

 もし、そのことに納得すれば、自身はの立場にいることに納得したということになる。そうなれば、どうだろうか。

 もう一度、ベッドで寝ている彼女を彼は見る。

「・・・・・・・すぅ・・・・・・・・すぅ・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 夢を見ているのだろうか、彼女は寝言をぼやいていた。その彼女の様子を見ると、彼はその様子に微笑んでみせた。

 は、ではなく、だ。となれば、連人とは逆の立場にいるということになる。その事にが気付いた時に、はどうするだろうか。


 は連人と戦おうとするか。

 あるいは、、連人と共に居ようとするか。


 その答えは、ではない連人には分からなかった。ただ一つ、分かることがあるとするならば、それは。

「葵先輩、怒ってるよな・・・・・・・・・・・。」

 昨日、戦う前に何処かに行くように言ったきり、行方知らずの真実と学校で会った際に、彼女は怒っているだろうと確信を持って言えることだった。

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