鎧_03

 ヨロイオオウサギのドロップは鎧だった

 胸当てと肩当て、そして手甲と脛当てで構成された軽装鎧だ

 何故かはよく判らないが腰当てが無い・・・鎧とボトムスは別扱いなんだろうか?

 しかし脛当てはあるし


 ラピッドメイル

 高い防御力と運動性能を持つ

 装備すると瞬発力と跳躍力が2倍になる


 試しに装備してみると確かに体が軽くなった感覚に支配された

 少し動いてみると、なるほど腰当ての無い理由がなんとなくわかる

 足の動きを阻害しかねない腰当てをつけるくらいならない方がマシということなんだろう、同じ理由か独立した膝当てや肘当てもない

 カウンターを主体とする俺の戦い方を考えれば最適な鎧だ


 第四階層への階段が開放されたので登った・・・最初の群れは3匹だ

 面倒くさいので風刃を放つ

 魔術師のレベルが上ったのか風刃だけで一掃できた


 試しにちょっとレベルを確認してみる


 ユウヤ・ハマナカ 自由人

 決死兵Lv42 魔術師Lv29 騎士Lv15 (戦士Lv40 旅人Lv32)


 良かった、決死兵のレベル上限が40だったわけじゃないのか

 恐らくレベル上昇のための必要経験値がガクッと上がるんだな

 とりあえずここからなにか弄ることもないので狩りを再開する


 第四階層はこれと言って特筆することもない・・・なにせ風刃だけで一掃できてしまう

 数時間狩りをして、腹時計もそろそろ夕刻を告げる頃

 いい加減エンカウントも少なくなったので迷宮を出る事にした


 それにしても結構出たな・・・ほぼ四階層だけなのに肉が200個以上、皮とか足で持ってきた袋が8割がた埋まったよ

 しかし「買い取らせていただきます」か・・・そろそろ俺が村を出ると感づいているんだろうな


 迷宮を出るとまだ明るかったので少し仮眠をとることにした

 ちょっと調子に乗って風刃を使い過ぎたのか、頭がだるかったから











 目が覚めると空が若干朱く染まりつつあった

 いけね!早いとこ戻らないと暗くなるな

 急いで村までの道を走りだすと、目の前に数人の男が立ちはだかった

 村人でも騎士団員でもないのはひと目で分かった


 おそらくは山賊だろう


 見た目はみすぼらしいボロ着だが、暗視を持つ俺は服の影もよく見える

 いや暗視ってそういう能力じゃないとは思うんだけどそう見える

 服の影には見えないように短剣を挿し、肌着の上には黒くなった鎖帷子チェインメイルを着込んでいる

 オオウサギを狩るつもりにしてはずいぶんな軽装だが、恐らくここ数日この辺りを探ってオオウサギが居ないことに気付いたのだろう

 今の服装は明らかに相手の油断を誘って後ろからグサリと行く山賊のスタイルだ


 「やあ、今迷宮から出たところかい?」


 目の前に居る一見すると痩せた大男が声をかけてきた

 懐には何も無いが、足元に何かあるように見える

 多分長めの柄モノだろう、警戒心を抱かせないように足元に置いてはいるが、いざ事を起こすとならば部下に先行させて部下の後ろから攻撃を仕掛けるんじゃなかろうか?


 「いや、このへんに迷宮があるからオオウサギでも狩ろうかと探しに来たんだがな。どうやら空振りだったようだ」

 「いやいやそんな事はないだろう。俺達もオオウサギが居ないか見に来たが、ちっとも見かけなかったぜ?」

 「そうか?それにしちゃ武器が見えないが」


 惚けたが相手は食い下がってくる・・・話が噛み合ってねぇよ

 だからと言っては何だが相手の矛盾を突いてみた


 「へ・・それはな・・・「こういう事だっ!」」

 「!?」ザシュッ!


 いつの間に背後に回られたのか?

 子供ほどの背丈の男が背後から襲ってきた

 俺は咄嗟に避けるが左腕に深い傷を追ってしまった

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