街へ_02
山賊Eの傍まで来た俺は、山賊Eの肩を斬り、無力化するとその足で馬車に向かった
山賊B以外は無力化したか蹲っているかだ、逃げるくらいは出来るだろうがこちらに向かって来るとは思えない
だが山賊Bは違う
確かに大ダメージは食らっているが、動けない訳でも武器が持てない訳でもない
逆上して馬車に向かわれても困る
馬車に辿り着くとまず馬車の中の安全を確認し、山賊Bを牽制する
火は無事消えたようで、こちらを睨んでは居るが俺の存在を確認して襲い掛かっては来れないようだ
「逃げるなら今の内だぞ 徹底抗戦なら、犯罪奴隷になるのを覚悟するんだな」
精一杯の虚勢を張る
無理な話ではないが、こいつらを制圧して騎士団に引き渡したとして、たった一人でこれだけの人数を生けどりともなれば不審がられるだろう
こいつらに聴取でもされた日には魔法を使ったこともばれる
この世界ではセカンドジョブとかは無い様だから、魔道具がなければおかしい話になる、俺のメインジョブも決死兵だしな
こいつらも暫くはまともに山賊を続けられないだろうし、これを期にまともな仕事に戻れるといいんだが・・街に入れば賞罰を確認される、難しい話か
「降参だ 見逃してくれると言うなら甘えるとしよう」
一見するとリーダーは山賊Aのようだったが、ここで決定するところを見るとリーダーは
山賊Bはその足で山賊Aの傍まで行くと、心臓を一突きし
「駄賃代わりにくれてやる、持って行け」
そう言うと、他の連中を引き起こして森の奥へと帰って行った
いや、こいつも連れて帰って欲しかったんだが(汗
死体の処理に困っていると、馬車の持ち主である商人が馬車に載せる許可を出してくれたので、厚意に甘えることにする
山賊Aの服を使って簡単な血止めをしてから馬車に載せ、再度街へと馬車を進めた
街の周りを囲う木製の壁が見えてきた
この世界の大きな街は主に3層構造になっているらしく、まず街の周囲の耕作地を囲う木製の「外壁」
次に居住区である市街地を囲う石や煉瓦を用いた「内壁」、最後に戦争などで住民を非難させ、篭城する為の「城砦」となっている
騎士団の詰め所は外壁の街道が抜ける所にあり、野生のモンスターや野盗に対応できるよう警備をしているそうで、街に来た人間の簡易的な検問もしている
「よう、景気はどうだい?」
「さっきそこで山賊に襲われたところだよ」
「何っ!? その割には被害が軽そうだな」
「護衛が腕利きだったんでな、何とか追っ払ってくれたよ」
商人が馬車に積んでいた山賊Aを指差して襲われたことを報告する
いかにも怪しい人間はここで止められ、賞罰や身元の確認がされるそうだが、普段来る行商人などは顔パスで通れるらしく、本来挨拶で終わるらしい
今日は山賊に襲われたと言う報告と、死体を持って来た事を知らせるため、わざわざこんなやり取りをしている
「分かった 一筆書くから、騎士団で山狩りの派遣依頼をしてくれ」
そう言うと、詰め所の騎士が手紙を買い手渡してきた
これで騎士団に届ける書状が2通になったわけだ
「そう言うわけで、これが山賊の死体です」
内壁の警備担当に死体の存在を伝え、ついでに騎士団まで送ってもらう
馬車から死体を降ろすと、商人とはここでお別れとなった
元々、ほぼ空荷の馬車に便乗させてもらい俺たちの都合に合わせて動いてもらう代わりに護衛をしていたので、護衛料等は無しだ
「確認した こいつは賞金首だったから、あとで賞金を取りに来てくれ」
山賊Aは賞金首だったらしく、金を用意するので暫く離れてもらって構わないと言われた
丁度いいので、荷物になっていたオオウサギの革を買い取りに出しに行く
買取は小口なら冒険者ギルド、大口なら商店に直接持ち込むと良いと言われ、革細工の店にどこで売ればいいか聞く
「オオウサギの皮なら裏の工房に納品してくれ」
裏の工房に皮の納品をする
何しろ皮だけで軽く500枚はある・・・馬車の空きスペースの半分はこれが占めてたからな(汗
早くアイテムボックス的な魔具が欲しい
「ちょ・・大口にも程があるだろうがっ!」
「すいません、状態など問題はありませんか?」
「どれどれ・・ざっと見たところ問題は無さそうだな 全てドロップ品だから傷もないと見て銀貨60枚でどうだ?」
そう言われても相場が良く分からない
1枚辺り銅貨12枚?
肉が銅貨10枚だしもうちょっと高くてもよさそうな・・でもここは田舎じゃないし肉ほど需要がないと考えると
「それでお願いします」
その後騎士団によっていろいろ一騒動あったのだが、それはまた別の話
俺がこの世界に降り立って初めての旅はこうして終わりを告げ、新しい生活が始まる
この話はここで終わりとしておこう
ゲームみたいな転生がしたい @aoi_senkou2016
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