戦士_02
村に戻るとルードリッヒさんが出迎えてくれた
「どうですか?ナズナは役に立ちそうですか?」
「ええ、当ても無く迷宮を探すところでしたがあっさりと見つけてくれましたよ」
「・・は?」
「ですから、昨日のオオアゲハの幼虫を出していた迷宮の入り口が見つかったと」
「・・・」
「・・・・・・」
どうやら他の、既に見つかっていたオオウサギの方を案内したと思っていたようだ
マジ勘弁してください
「そ・・そうですか、そんな近くに迷宮・・それもオオアゲハの幼虫を出す迷宮が」
「ええ、ナズナが言うには新しい迷宮が見つかったら騎士団に連絡するそうですね」
「はい、騎士団が管理することで定期的に中を掃除して溢れないようにしてくれるんです」
「その割にはオオウサギは出ているようですが・・・」
「迷宮外への脅威の割合に応じて騎士団の来る頻度も変わるのです、オオアゲハの幼虫であれば派生ジョブに就いた者が居なくては逸れモンスター1匹でも苦戦します」
「なるほど」
つまり、オオウサギ程度なら熟練の村人でも問題無いと
「オオアゲハの幼虫の出てくる迷宮が危険なのは出てくるのが「幼虫」だということなのです」
「はぁ?」
「ピンときませんか?幼虫である以上成虫も存在します・・・オオアゲハというモンスターです」
なるほど、あれは本当に幼虫なんだ
「迷宮内では何故かあれ以上成長はしませんが、迷宮外では迷宮外の生き物を餌にして魔素を吸収し、成虫になります」
「ほう・・・」
「成虫は迷宮の中でも奥の方で発生するモンスターです、それが外で発生したらどうなるか?」
まぁ・・・普通に大変な上に「オオアゲハ」という名前からして蝶だろうから空飛ぶよな
迷宮内なら高さ制限があるし横の移動も少ないだろうがこんな制限のないところに出られたら攻撃も当たらないか
「攻撃を当てるのも大変そうですね」
「いえ、奴らは何故か獲物の前では半径1mの範囲で動くので攻撃自体はあたります」
なにそれ
「ただ、幼虫よりはるかにHPが高い上にその鱗粉には麻痺毒や即効性の出血毒があるようで、単に近づくだけでも一苦労です」
「なるほど・・・熟練の戦士でも難しそうな相手ですね」
「最低でも毒消しや麻痺解除の薬を所持する必要があるでしょう」
俺は状態異常回避つけてるから問題ないけどな
何しろ無効化だからな、大枚(18ポイント)はたいただけはある
しかし普通の人間にとっては脅威以外の何物でもないだろう
特に2種類の状態異常という点だ
1種類なら口に含んでおくという方法もあるが2種類ではそうも行かない
実にいやらしい敵だ
「オオアゲハの幼虫の居る迷宮では、高確率で深い階層にオオアゲハが出るそうです、騎士団だけでなく攻略に来る冒険者もそれなりの装備を強いられるので、定期的に駆除に来るだけで放置の可能性もありますね」
「そうですか、厳しいですね」
「また、オオアゲハの幼虫はその突進力によって村の外壁を壊して入ってくることもあります、非常に危険です」
えっと・・・
「ですので、もしよろしければですが、騎士団が常駐を決めるまで滞在してはいただけませんでしょうか?」
「そ・・それもそうですね」
「お願いします、滞在中の食事の材料はこちらで用意いたしますので」
まあ、そうなるよな
俺も一人前になるまで村を出る気もないしいいか
「分かりました、では村で戦いに参加できる程度まで育った人が居たら私とパーティーを組みましょう。オオウサギなら安全に倒せるでしょうし」
「なるほど、オオアゲハの幼虫を倒せるほどになれば安心ですね」
と、なるとしばらくは獲得経験値のLvは低めで必要経験値の方は上げるか
「明日から手の空いた人を集めてください、パーティは最大何人まで大丈夫ですか?」
「そうですね・・・6人ですからナズナも入ることを考慮したら残り4人ですか・・・そのくらいなら常時手すきの人間が出ると思います」
「では明日からお願いします」
「こちらこそ」
明日からまた大変だ・・・
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