獣神_02
男は俺を見て怯みながら叫んできた
悪夢のような戦闘を終え、やっとの思いで生き延びたと思ったら悪夢の元凶が目の前に居たんだからそりゃ叫びたくもなるか
結局あのまま薬かけた痛みで気を失って、今の今まで寝てたらしいし
「なあ、あんたにちょっと聞きたいことがあるんだが」
「あ゛? おまえなんかと話すことねぇぞ」
返り討ちに会って機嫌が悪いのか、元からこうなのか
全く取り付く島がない
このまま睨み合ってても仕方ない、一先ず離れようと膝に手を置くとなんかビクつかれた
・・・・・・
水を飲ませてやろうとコップに手を伸ばしてみるが、柱に縛り付けられた体を捩ってまで逃げようとしている
何されると思ったんだ、こいつは
「安心しろ、これ以上痛い思いをすることはないさ、今はな」
そう、今は痛い思いをさせるだけ無駄だ、意味なんか無い
子供の奴隷一人の名前を聞き出すだけ、むしろ食い物でもチラつかせれば直ぐにでも吐くんじゃないかね?
まぁ、このあと騎士団の陣地に行ってからのことは知らんけどな、アジトの場所を吐くまで生かさず殺さずと言ったところか
「あの獣人の子供、お前の奴隷のようだが」
「それがどうした」
「名前はあるのか?」
「名前だぁ?それがなんだって・・・」
交渉材料にでもなると思ったのか、少し考えるそぶりを見せたようだが
「腹が減って頭がまわらねぇんだ、なんか食わせてくれ」
そんな高い材料でもないと思い直したのか、飯を条件に出してきた
別にそんなことをしなくても、宴会の残りくらいくれてやるんだが
「そうだな、まあコレでも食べろ」
そう言って野菜の串焼きを出してやる
「肉を食べたいだろうがな、流石に襲ってきた相手にそこまで施す気は無い」
「ちっ まあいい、あいつの名前はしらねぇ あいつはあんたの前に襲った奴隷商が連れてたんだ」
「連れていた奴隷はあの子だけか?」
「ああ、ちょうど売ってきた帰りらしくてな あいつはその売った先で金は要らないからと預けられたらしい」
口減らしって事か
「その奴隷商はどうした?」
「アジトに居た
・・・恐らく有り金全部と無理やり交換したんだな
奴隷商人は言ってみれば金づるだ、下手に殺すより油断した頃に襲って搾取したほうが金になる
あの子に関しては、とりあえず引き取ってアジトに帰ったら慰み者にでもする気だったんだろうか?
「あんな小さな獣人をか・・雑用にも向かないんじゃないのか?」
同類だと思われそうだからな
「へっ!分かってねぇな ああ言うのは奴隷商が表立って入れないような所で需要があるんだよ」
この世界の奴隷商は公的な認可を受けた商人だ
奴隷は商品としてだけでなく人間としても扱わなくてはならない
奴隷商に預けられる前はともかく、奴隷商に預けられてからは衣食住が保証されるようになる
その上で意に沿わない性的商品としての取引は行われず、また、買った側もあくまで「雇用」なので契約外の扱いは出来ない
だが、法の目は掻い潜れなくても欲しいものを手に入れたい人間はどこにでも居る
非合法の取引を前提とする
それどころか奴隷商が入って商品らしき人物が減っているのに、契約を交わした跡が無ければ疑われてしまう
そこで、こう言った如何わしい連中から買い取るわけだ
「そうか・・
余罪がどうとかそれによって犯罪奴隷としての期間が減るかまでは知らないが、今ここでそう言った
それなら拷問されないだけでも待遇は良くなったと言えるだろう、嘘をついた訳じゃない
会場を出て、部屋に戻ろうと思うとナズナを見つけた
あの子に名前も付けないといけないし・・いい機会だから、ナズナの名前の由来でも聞いてみるか
「ナズナ、ちょっといいか?」
「なんですか?ちょうど仕事もひと段落したところですし構いませんが」
相変わらずツンツンである
「あの獣人の子だけどな、俺が預かって街まで連れて行くことになった」
「え?・・」
ススッ
ナズナが引くのを感じた(汗
「いや、あくまでこの村で引き取れないということで預かるだけで、別に奴隷としてこき使うわけじゃないからな!?」
あえて
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