山賊_02

 さて・・残りはリーダー・・と、弓兵か

 リーダーの柄モノ・・・何だありゃ?槍か?

 リーチが長いな・・・矢を避けながらアレを掻い潜るのは難しいか?

 なら


 「なっ・・どこに行きやがる!」


 俺は一気に走ると矢の飛んできた方へ向かった

 弓はリーチが長い・・しかし近づいてくる標的には恐ろしく弱い

 シミュレーションゲームによっては近接射程1の攻撃には対応できない場合も多い

 槍と弓、どちらを先に狙うかと言われればまずは弓、常識だ


 ザシュッ!!


 エクスカリバーは弓もろとも弓手を斬った

 これで弓兵は無力化した


 踵を返し、今度は俺を追ってきたリーダーに向かった

 リーダーは槍を腰に構え、油断なくこちらを睨んでいた


 先ほどまでの無気力に剣を振るうだけとは違い、急に意思を持って動き出した俺に戸惑っているようだ

 しかし意志があるということは逆に言えば読みやすいということでもある


 「オラぁあっ!」

 「くっ!」


 右足を突かれ動きを制限された

 いくらHP的に見てダメージが少なくても傷を負えば動きが制限されるのに変わりはない

 痛む右足を引きずりながら、左を蹴り足に一気に間合いを詰める


 槍の弱点は伸びきってから引き寄せるまでの隙だ

 しかしただそのまま懐に入ってもガードされるかもしれない


 俺は引き戻される槍の柄めがけて剣を振り上げ、槍のコントロールを奪った


 「なにぃっ!?」

 「そこだっ!」


 ただ槍を跳ね上げるだけでは終わらない

 振り上げた剣を、今度は槍を持つ手に狙いをつけて振り下ろす


 ガッ!!


 流石というべきか?

 リーダーは腕を守る防具を着けていたようで、エクスカリバーは食い込みつつも防具によって勢いを削がれ、断ち切るには至れなかった


 「チィッ!」


 悔しげに後ずさるが、そこまで自由にさせるものかと

 足に力が戻ったのを確認するももどかしく、そのまま踏み切ってエクスカリバーを振り抜いた


 キィインッ!


 鋭い金属音とともに、槍の柄が斬られた

 自らを守るものが失われ、為す術も無くなったリーダーは、その場で気を失ったようだ


 山賊のリーダーを縛り付けていると、騎士団数人を連れた村人たちが様子を見に来たところだった

辺りはもうじき夕闇に染まろうかという時間で、気になって見に来たらしい


 残りの山賊の捕縛と回収を頼むと、俺は少し離れたところに居たはずの弓兵の様子を見に行った


 弓兵はまだその場で蹲っているように見えたが、どうやら自分の左手のパーツを拾い、不思議な薬で繋ぎ止めいているようだった

 これがこの世界の傷薬・・・欠損部でもパーツさえアレば元通りということか


 ふと見ると、荷物持ちでもしていたのか子供がこちらを興味深そうに見つめていた

 みすぼらしい格好ではあるが一応上下を着こみ、首には縄がかけられている


 ・・・奴隷?


 よく見ると肩まであるように見える髪の一部は、頭の上部から垂れ下がった耳だった

 ケモ耳だ

 ゴールデンな犬耳というよりはロップなウサ耳という感じだ


 こんな格好だと男女の区別はつきにくいし、年齢的に格好だけで見分けるのは難しそうだ・・・にしてもケモ耳・・・男のロマンだ

 しかし奴隷か・・・と、言うことは山賊が下働きにしていたか、売り払うつもりで連れ回していた無所属の奴隷ということか?


 とりあえず二人を連れて、俺は村へ戻る一行に合流することにした

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