初陣_01
目が覚めると草原だった
少し離れた所には村というか集落があり、畑のようなものも見える
ここは一体どこ・・・いや、おそらく異世界なんだろう事は分かってるんだけども
とりあえず状況を確認しよう
ステータスを思い浮かべてみる
こう言った作品のお約束って奴だ、こうすれば自分の状態が数値で・・・
ユウヤ・ハマナカ 自由人
旅人Lv1
自分の能力値どころかHPやMPまで数値化されてないじゃないですかー!やだー!!
えっと・・・スキルはどうなってるんだろう?
スキルと念じてみる
取得exp増Lv5・必要exp減Lv5・鑑定Lv4・呪文短縮Lv4・死亡回避Lv2・異常回避Lv3・マインドブラスト・リセット
え~・・・と?
どうやら俺が設定した項目と実際に表示される能力名は違うようだ
とりあえず「異常回避」と念じてみる
異常回避Lv3
どんな状態異常にもかからない
能力の内容は変わらないようだからひと安心か
そりゃそうだよな、内容が変わっちゃったらあの設定をした意味がない
きっとレベルで表示する事で混乱を避ける狙いがあるんだろう
問題はそれが誰に対しての配慮なんだって事だが・・・気にしたら負けだな
次は所持品だ
エクスカリバー(模造品)
伝説の聖剣を模して作られた品
既に製造技術が失われており、未発掘品を除けば世界に数本しか存在しないとされる
対象の防御力半減・HP吸収・魔法反射
なんか微妙に凄い武器だな・・・本物のエクスカリバーのスペックってどんだけだ
しかしこの説明文が本当なら、この世界に既に把握されているだけで数本あり、未発掘の物もあると
もし万が一バレたらやんごとない事情で譲り受けた事にすればよさそうだ
あと覚えている範囲だと俺の身体的特徴をいじったはずだが・・・
ちょっと回りを見渡してみる・・・メガネが消えてるのに以前よりはよく見えるようだ
どうやら乱視も近視もだいぶ改善している、これなら日常生活くらいならどうにかなるな
次にちょっと素振りをしてみる
元々の俺ならこんな剣ろくに振れずに息切れするはずだ
・・・50回は振ったが、肩で息をするほどじゃないな
普通の体力でも金属製の棒をこれだけ振れば多少は疲れるはずだから、この状態は割りと普通な方だろう
以前の俺では考えられない
ついでなのでエクスカリバーを鏡にして顔を確認してみる
・・・顔の古傷だけ消えている
他の特徴はそのままだからちょっとへこむわ
この分だと身長も元よりちょっと高くなったはず・・・5cmだが
所持品を確認していると、服の中から何やら手紙が出てきたので読んでみる
” この世界に転生した愚かな人間へ
君のかかったトラップはなんだったのかな?
色々な手法で罠を張り巡らせたからどれにかかったかまでは分からないけど、一所懸命に設定を悩んで、結果君が満足するような転生は出来たかな?
たぶん多くの人間は設定を決める時に、自分のコンプレックスを解消したんじゃないかと思う
そしてコンプレックスを解消した先に、自分のコンプレックスをプラスに出来る機会が現れたんじゃないかな?
そしてこれ幸いとどんどんボーナスをつぎ込んだことだと思う
残念ながらそれはトラップだよ
まあ、効果自体は書かれたとおりの効果はあるよ?
でも「やっぱりここまで要らなかった」と思っても「リセット」でボーナスを戻すことは出来ないんだ
元の世界で身体的長所を持っていた人たちも残念だったね
この世界ではその部分は並に揃えられてしまうんだ
自分の誇れる部分が並になる変わりに、自分が求めてやまなかった長所を得られたと割り切るしかないね
自分のコンプレックスを長所に変えなかった君たち
君たちは懸命だ・・・この後ボーナスを獲得する事でいくらでも改善できるからね
でも残念ながら君たちは長所に変える機会を失った
君たちは以降どんなにボーナスを獲得しても、身体的には並にしかなれないよ
もし身体的に長所になる特徴を持っていて自分のコンプレックスを長所に変えて居なかったとしたら・・・
言いたい事は分かるよね?
それから君たちはもう元の世界に帰る事は出来ない・・でもいいよね?
向こうの世界では既に君たちは居なかった存在になっているしね
大体このトラップにかかるような人材は世を儚んだような人だけだ、消えてなくなりたいとでも思ってたんじゃないかな?
だったらちょうど良かったんじゃない?
君たちがもし死にたいと思ったら簡単だよ
「死亡回避」のスキルを解除するだけだ
リセットをすれば外すことが出来るよ
もし死にたくなかったらLv1でもいいから取っておくべきだよ・・・3ポイントもボーナスが余っていればだけど
「異常回避」のスキルも取っておく事を薦めるよ
もし「死亡回避Lv1」を持っていても、即死系の状態異常を食らえば死ぬし毒とか石化とか回復手段がないと死なないまでも寝たきり立ちんぼだからね
さて、とりあえずこんなところかな
あ、そうそう
サービスで君達が言葉で苦労する事は無くなっているよ
文字はちょっと読めないけど「鑑定」スキルで読む事もできるようになるから安心してくれ
ではいい旅を(笑)
”
・・・・・・・・・
酷い奴である
何が酷いってここまで懇切丁寧に自分の失態を気付かせる様な手紙を
しかし敢えて言おう
GJであると
そうだよ、これこそ俺が求めていた状況なんだよ!!
この手紙の事が本当なら、俺から見て心配性だったあいつが俺を探すかもしれないなんて心配もしないで済むわけだ
しかも死にたくなったらいつでも死ねる!!
なんて都合がいいんだ
ボーナスに関してもそうだ
俺は身体的に誇れる部分など一つも無かった
その上で自分のコンプレックスが最高でも並とは言え解消される!!素晴らしい
これはまさしく俺が求めていた異世界生活
俺の求めていた
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