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中学生時代、必ず学級委員を務めるような真面目ちゃんタイプだった女子は、大学デビューを頑張っているみたい。……ちょっとメイクとか似合ってないけど。典型的なお調子者男子だったあいつは、案外まともになって、そこそこの大学の教育学部に所属しているようだ。クラスの番長だったあの女の子は、所属している大学名もしくは就職先をプロフィール欄に書いていない。――個人情報保護のため?それとも受験や就活が上手くいかなかったのだろうか?
18やそこらになると、徐々に皆の進路が決まってくる。ある人は幼い頃からの夢を叶えるために邁進している旨の投稿をしているし、ある人は大学でサークルにバイトに、充実した毎日を送っているという。そうかと思えば、半分ニートのような生活をしている人もいるし、あまりに濃い化粧で素顔を隠し、何やらちょっとアブなそうな男子との写メを大量に載せている人もいる。
「生き方に正解はない」とはよく言ったものだ。だけど愛莉はどうしても思う。これだけ沢山若者が居て、これだけ沢山の人が幸せを願って生きていれば、必ず上手くいかない人も現れる。
幸せかどうか、決まってくるのが、愛莉たちの年頃。
そして、愛莉はある人の「今」を見てみたいと思った。愛莉を一番だと言ってくれなかった、あの人。宮田 拓真は今、何をしているのだろうか。
拓真の通っていた某有名私立男子校の繋がりから、彼のSNSのアカウントは容易に特定できた。現在はある優秀な国立の大学で、法律を学んでいるらしい。――やっぱり、拓真は賢いんだ。例の一件以来、あまり話をすることが無くなってしまっていたが、不思議と愛莉は素直に彼を誇りに思った。
どんな大学生活を送っているのだろう。
「うわ、明日1限ある。めんどくさいからサボろ」
「今日はサークルの発表が13:00からあります!ぜひいらしてください」
授業にサークルに、かなり忙しい毎日みたい。楽しそう。仲の良さそうな友達との会話からも見てとれる。友達、いっぱい居るな。愛莉にはそんなに友達は出来なかった。――あ、でも「可愛い」と言ってくれる、SNS上の付き合いだけの人なら沢山居るんだった。
しばらく拓真のアカウントを見ていて気づいた。しょっちゅう、拓真はある女の子にリプライを送っているみたい。サークル仲間かな?――そう言えば夏希との恋はどうなったんだろう。いくら拓真でも、流石に小学生の時の恋をいつまでも覚えている訳無いか。
その女の子のアカウントを何気なくタップしてみる。プロフィールを見た。
『○○Internatinal School →××中→△△高→□□大医学部』
愛莉と同じ中学、海外の小学校出身。友達と写った写真をアイコンにしていて、その顔は――
それは、間違いなく山本 桜のものだったのだ。
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