九紫かえで

野球好きな方はもちろん、青春時代を何かに捧げて今はそこから離れている方にも読んでもらいたい短編です。
「ナゴヤ球場」でなければ成立しないストーリーのまとめ方が素敵です。

幼馴染の知らなかった一面を知ってしまって……ベタな展開だとバレてうんぬんってなるところですが、あえてそうしなかったことが話をほっこりとしたものにしてくれていて、いいところだと思いま…続きを読む

とにかくほっこりとして温かいお話です。こんな救いがこの国のどこかにあってもいいでしょう。 桜色に塗られた背景を走る列車と女の子「2人」の情景が目に浮かんできて一枚絵で見てみたいなと…続きを読む

ノン子ちゃんが法律オタクここに極まれりって微笑ましかったです。 消費者契約に破産、離婚調停や、最新の不同意性交等罪まで、さらっと法律の知識もつけられますので、ニュースで出てくる法律…続きを読む

家庭で妻として母として生きてきた女性が「女」を取り戻すお話……特に一線を超えて申し訳なさを捨てきった後の心情はまさに「覚醒」とでも言いたくなる凄まじさがあります。 第2話での移りゆ…続きを読む

悲しく切ない背景がありながらも、こんなにも読後感がいいのは主人公が前向きだからなのでしょう。作中の皆に祝福がもたらされますように。

なんなら口と違って、目は嘘をつかない。
この物語を目で見ている読者の私達に伝わるものがきっと二人の正解です。

失恋したばかりの男の子と過去の失恋を引きずる教育実習生の女子が心を通わせるお話。「傷/キズ」というの言葉の使い方・意味の持たせ方がうまいなと思いました。 綺麗なストーリーでも青少年…続きを読む

うどんとそばの2つを対比させながら、同じ場面での少年と少女の心の違いを描いていく、「味わい深い」お話でした。俚子ちゃんのちょっと理屈っぽいところがなんだか狸っぽくて好きです。

とある夏の一日で起こった一つの恋の終わりと一つの恋の始まりを描いたお話です。ジンジャエールをキーアイテムに登場人物の様々な思いが交錯するのですが、そんな淡い感情を表現するための舞台…続きを読む

「琵琶湖の水を実際に止めたら滋賀県が水没する」という反撃に対し、滋賀県民はどう戦うのか。ホラー風ご当地ギャグというニッチなネタに大分笑わせていただきました。 ところでこれで勝った気…続きを読む

11年越しに姉弟として再会する前に、他人として出会ってしまったのは幸か不幸だったのか。それが運命であったのならば私達がとやかく言うことではないのでしょうか。 ヒロインの名前である「…続きを読む

創作物は所詮空想のもの。作者の意図と違おうがその評価は独立しているのです。 ……という一般論はわかっているのですが、大なり小なり書き手はヒロインのような経験をしたことがあるのではな…続きを読む

ベタなホームシックを題材にした小話なのですがそのホームが大阪になるととたんに笑える話になります。 何もかもが大阪に見えてきているので、そのうち歩いてる人から猛虎魂を感じるようになる…続きを読む

これは地方都市や街歩きが大好きな方が書かれたお話ですね。各地の描写が細かいことはもちろん、仙台であえてロフトという都市スポットを入れてくるあたり実体験に基づいておられるのかなぁと。…続きを読む

人を殺したことがなくても殺人のトリックや殺人者の心理を描くことはできます。性描写にしても経験していないからこそ想像力を膨らませて描くことができるという面もあるでしょう。 飲んだり食…続きを読む

威厳があるようで見た目相応な面もある神様……割とよくある設定ではありますが、実際の地名が上がっていることもあって生き生きとした面白いキャラに描かれています。 ここから3日間の話をど…続きを読む

関西対広島の定番のお好み焼き戦争ネタを取り扱った一品。対決の裏にある異なる人間ドラマがソースのようにお好み焼きを特徴づける味わいとなっています。 お好み焼きの調理シーンですが、作者…続きを読む

余所者を嫌う漁村に住む一人の青年と旅医者の女との間の一春の出会いの物語なのですが、ぶっきらぼうながらも徐々に心を開いていく主人公視点の描写が、まるで雪解けから暖かくなっていく春その…続きを読む

考えてみれば駅って都市の入口なわけで、結界みたいなものが張られていてもおかしくないのかもしれません。名古屋の歴史や神話とからめてコンパクトに違和感なくまとまっている上に、権利の都合…続きを読む

一人称小説ゆえのちょっとした叙述のひっかけが上手いなと思いました。それにしても北の姫様可愛い……。

将棋でプロになるような人は圧倒的な才能と負けず嫌いの心を持つ竜ばかりです。それが頂点に上り詰めて、自分よりもさらに才能のある鬼才を迎え撃つようになり、鯉のような息をしながらもがく棋…続きを読む

雨の帰り道という短い時間で、途中まではゆっくりとした流れだったのに、最後の最後に急展開。まさに幼馴染ものならではの緩急なのかなぁと。 その主人公、ヒロインが共にかわいらしくて、読ん…続きを読む

大人の男性が女子高生を推して女子高生はまんざらでもないという一歩間違えればいかがわしくなりそうな関係性を、いちごショートケーキのように程よい甘さで仕上げた、疲れている休憩時に読みた…続きを読む

名古屋の人の絶妙なお国自慢したいところと自虐ネタに走るところが、ほんのり男女間の感情とも重なって八丁味噌のようにコクのある話になっていると思いました。でも今食べたいのは青菜炒めです…続きを読む

お兄さんね、細けえことはよくわかんないんですけど、この2人は幸せになってほしいって思っちゃったんです。

行ったことがある方にとってはあぁなるほどねと、行ったことない方にとってはなんだかよくわからないと思われるかもしれません。大須はとにかくカオスな街なのでこんな神様がいたっていいのです…続きを読む

結局ヒロインが何を求めているかという話なのです。

一夏の思い出ってどうして切ない展開とマッチするのでしょうね。
それでも願いがかなったのであれば彼女は幸せだったのでしょう。

大人になって痛いくらいに鮮やかだった夏は色褪せていく。でも、時にはこんな奇跡があってもいいと思うのです。

イタロ・カルヴィーノの「不揃いなサンダル」をちょっと思い出しました。作中に感情が一切ないはずの話なのに感情を揺さぶられるのはなぜだろう……味わい深いお話です。

奥ゆかしいけど主張することは主張する女の子はいいものです。こういう青春を味わってみたかった……。

だからこそ人々は旅の安全も恋愛成就も神様に祈るのでしょう。
恋愛も大事だけど生きていくうえで全てに優先させているわけではないというところがリアルです。

名古屋の地名やもじったネタがちりばめられていて、ほどよいローカルな香りが2人のかわいさを引き出しています。えびふりゃー食べよう。

すごく、すごくやりきれないですが淡々とした文章でつづる物語は美しい。でもこの美しさは消さなければならないものなのでしょう。

私達も様々な英雄譚や歴史上の偉人伝に触れていると思いますが、果たして本人達は何を望んでいたのやら。ちょっとした気づきを与えてくれるお話です。

がっつりと文字数を割いてカレーの描写をしているわけでもないのに、なぜかカレーを食べたくなる不思議なお話です。きっと何かしらのスパイスが入っているのでしょう。 ヒロインの性格が穏やか…続きを読む

一度読んだところで試験問題を読み直すように頭からまた読んでしまう、スルメイカのような不思議な作品。それで、あなたはどっちが勝ったと思います？

「幸せ」ってなんでしょう。不満があるから願うものなのかもしれないし、誰かの犠牲で成り立っているのかもしれない。それでも彼女は他者のために幸せを願い、幸せを届けるのです。 近代の欧州…続きを読む

不幸な身の上で人とつながることを疎んでしまっていた主人公。彼自身の命が救われたことと引き換えにおこってしまったことがきっかけなのですが、会えるはずもなかった人と出会えたことで彼に降…続きを読む

絶望に打ちひしがれた過去を持つ女性二人の友情を主軸に、マルチな視点からどうしようもない絶望を乗り越え、前に向かって歩いていく様を描いたお話。これだけたくさんの人物を登場させながら、…続きを読む

年の瀬の札幌を舞台にした、男女間のからっとした友情とその底で眠っていた湿っぽい恋心に焦点を当てたお話です。 賑やかだけどどこか寂しさのある雪降る深夜の冬の街の描写と、淡々としつつも…続きを読む