ヒロインであるユカリさんの優しさに涙が止まらない名作。
物語の当初、主人公に声をかけた時、彼女がどんな気持ちで優しく振舞ったのかを思うと、その慈愛の深さには脱帽するしかありません。
私なら胸倉つかんで怒鳴りますよ「ふざけてるのか、テメェ」って。
なるほど、主人公の生い立ちは不幸らしい。
その可哀想な身の上を知っていたからこそユカリさんは優しいのかもしれない。
でも、彼女から一生かけても返し切れないほどの恩を受けたなら……ありがちな悲しい過去なんて、そんな物は、もうアブクでしかないでしょう?
その母親よりも深い愛情は、失った父の分を補って余りあるはず。こさえてしまった借りを万分の一でも返す為には、もう背筋を伸ばして全力で頑張るしかないのだから。
だから少年は、逆ギレなんかしないで歯を食い縛って立ち向かわねばなりません。たとえ自己評価が最低であろうとも。
そしてそれは、何も主人公くんに限った話ではなく。
我々全員にも言えることなのです。
人は誰もが皆に大きな借りをこさえながら生きているのです。
人間は決して一人では生きていけないのだから。親に、恩師に、友達に、沢山の借りを作って私たちは今日まで生きてきました。
そう、命というものは一人分の重さではないのです。
だから私達も、受けた大恩に報いるべく歯を食いしばって世の中に立ち向かわねばならないのでしょう。
どうしてもこの借りを返したくば、ユカリさんを見習って誰かに優しくするしかありません。昔から言うでしょう? 情けは人の為ならずって。
そのようにしてきっと世界は回っていくのです。
命の価値と生きる意味を考えさせてくれます。
なにくそと頑張りたい貴方へ、おススメです。
ぜひ一読ください。