九紫かえで

ゲストハウスは家主とゲスト、あるいはゲスト同士で新たな関係が生まれる場所。そんなゲストハウスを舞台に、何層にも重なる終わりゆく恋と新たに生まれた恋とを、切なくも前向きに描いたお話で…続きを読む

少々口の悪いOL目線のほのぼの鎌倉旅行記かと思いきや四日目後半からの怒涛の転結にはしてやられました。落差の付け方がうまいなぁ。

登場する人たちがみんないい人たちで、読んでいてこちらも何かを作り出すことや仕事をすることに対して前向きになれそうなお話です。そしてラストの「ネタばらし」はお見事。

小気味いい大阪弁で語りかけてくるお不動さんには、どこか吉本っぽい軽快でかつ教育的なメッセージ性を感じますね。関西には他にも仏さんがようけおりますが、皆々思うところがあるのかもしれま…続きを読む

祇園祭の宵々山には足を運んだことがありますが、夜店が撤収をし始めたあとの空気はどこか味わい深いものがあります。そんな寂寥感と恋人への申し訳なさと、それでいていつもとは違う非日常の残…続きを読む

なんでタイムリープもの？と思ったのですが、角川のカクヨムで市章が八の名古屋の話だからかと納得。 本場の名古屋の方が書く小説は違うなと思いました。地元の方ならではのスポット紹介とそ…続きを読む

締め切りぎりぎりの作家の元に押し掛けてまで原稿を書かせるヒロインと、担当作家の一泊二日のお話。 「ジョークです」という言葉を添えて突拍子もない行動をしつつ、チラ見せするかのようにさ…続きを読む

地元の愛着あるチームが東へと消え去って、10年後にライバルチームが生まれ変わってやってくる――福岡をめぐるプロ野球の物語って、史実だけでもドラマチックなんですよね。 今でこそホーク…続きを読む

モテるかわいい女の子になるために、本来のお調子者だった自分を捨てようとしたヒロイン。でも、本当の彼女をちゃんと見てくれる人は身近にいたのです。
あぁ、もう、胸がときめきました。

魚が自分の子を食べるなんてよくあることですけど……それを流産した女性の叫びにつなげたのは面白いアイデアだなと思いました。 場面場面の情景描写、モノローグの心情描写ともに丁寧で読みや…続きを読む

少女もまた滅びるほかない存在だったのだろうか。
あなたが少女ならどうしますか？

starsongbirdさんは、しんみりとした空気の中でしっかりと人と人との心の交流を描く（あとタイトルがハッタリ）というお話が得意なのですが、このお話も「なぜ18禁なのか」「なぜ…続きを読む

平家を題材にゴキで騒ぐだけの話を書こうとする作者さんの発想力がうらやまし。
どこか古文の教科書を思わせる雰囲気もいとをかし。

前半部分から場面転換、そして最後の流れと、まるでジェットコースターのように目まぐるしく展開する不思議なお話でした。 身近なモノを題材に、それもこれだけの字数で、ここまで壮大な物語を…続きを読む

どうしようもない灰色の絶望の中にうっすらと咲く墨染の桜。
諦観の中でも大切なものを忘れまいという力強さを感じました。

自分をコピーした存在は自分？　自分が生き続けるために、コピーを生んでオリジナルを消去するのか？　遺伝子を受け継いでいくこともそうじゃないのか？ ヤンデレな彼女がなぜ病んでしまったの…続きを読む

その病院ではいろんなものがなくなっていくの――少しホラーがかったこのお話を読んで、あなたに彼女が見えますか？ タイトル・サブタイトルから全てが計算しつくされている、ガラス細工のよう…続きを読む

なんとか想いが通じ合ってくれ、と祈るように読んでしまいました。二人の続きの話があればぜひ読んでみたいものです。

関西在住なので、京都駅内や周辺のスポットがさらりと出てきて少しにやりとしました。 全体的に大人の淡々としていた物語で、怒りや心配といった感情を必要以上に強調しなかったところが、大人…続きを読む

何気ない教室での日々も淡い君の姿ももう過去のもの。今では誰もいない教室で感傷に浸ることしかできない。
春になると読み返したくなる素敵なお話です。

チキンな主人公の蛮勇が、最後のキュンキュンした展開につながってまことに綺麗でした。
恋愛に筋書きはない。

テンポの良いギャグの応酬にとてつもない才能と闇を感じました。

一見破綻しているようで、お互いのことを言外でわかり合っているので、全体としてはほのぼのとしたお話です。Mの人の方が精神的には強いんですよね。

日本？　ギリシャ？　アセンション島？　それとも……あなたの空想の世界？ ぶっ飛んでいるようで、そしてまたいい話のようで、でもブラックな現実味を忘れていない、三太夫さんらしいお話です…続きを読む

ナス科の植物のおかげで我が国の金庫は潤っています。