想像力にはそれなりに自信はあるものの、これは最後に射抜かれた。
グサッと、というか。
ぐわっと、というか。
設定自体がまさに理想郷。
理想郷っていうのは、まさしくあり得ないものの象徴なんだなと深く胸に刺さりました。
ただ、それで終わらせない作者さんのポテンシャルの高さがとにかくすごい。
わたし達はないものと決めつけるけれど、それを創造する側の人。
それが世界を分けるのだろうなと思いました。
わたしが実際に老人ホームを必要とする頃になった時、果たしてどこまで理想郷はできているのか。
たぶんお金の問題でわたしには入居できないけれど、とりあえずわたしは物語は読んでいたいかな。余生も。
まず、物語としておもしろい。
しかし、この先は本文を最後まで読んでからにしてもらいたい。
そのほうが読者のためであるし――まずは本文を読みなさい。
さて、本文を読んだ方に向けて書く。
大長編ドラえもんの導入を髣髴とさせる物語で、こんな理想郷もありかと思ってしまう。しかし、作者の意図に気がついてしまうと――いやいや、こんな理想郷なんて、と全てが反転する。
ここまで読んだ方は、すでに物語の楽しみを半分以上失っているのだが、まさか本文を読んでいない方はいないと思うので、大丈夫だろう。
正直、僕は作者にまんまとしてやれた。
ヒントをもらえなければ気が付くことができなかっただろう。
これがネット小説かと脱帽したものである。
ここまで意匠をこらし、創意工夫をしてくれた作者に拍手をおくりたい!