30年ほど前、伊丹十三監督の「タンポポ」という映画が流行りました。一世を風靡した一連の伊丹映画の初弾でした。宮本信子演じる女将さんに山崎努演じる流れ者がラーメン作りを指南する。二人とも渋かったあ。
この作品は「タンポポ」とはストーリー展開が全く違いますが、渋くて癖のある登場人物と、場末だけど濃厚な存在感を漂わせるラーメン屋という舞台がソックリです。それだけ文章が上手いです。
ストーリー自体も骨が有ります。豚骨がスープの出汁を出すように、後半で女将さんの態度の謎解きが為されるのですが、その決着の付け方がまた渋い。客の方はハードボイルドですよ。
短編にはMAX2つが信条なんですが、星3つ付けました。
作者の投稿履歴を見るとカクヨムからは遠ざかっているようですが、是非戻ってきていただきたいです。