砂漠渡りと長月 ~砂丘と西域と~

作者 四谷軒

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★★★ Excellent!!!

新聞記者の「私」は、編集局長の命により、牛相撲興行用の写真を用意することに。「西域の小説を書きたい」そんな、忸怩たる思いを抱える「私」は、広大な砂丘で写真家の植田正治と出会う。
戦後昭和を舞台に実在の人物たちが織り成す、創作への思いを描いた小説。言葉遣いや情景によって、読者を一気に昭和の空気へ引き込みます。
立場や作り出すものが全く違う二人ですが、もしも出会えていたら……そんな思いに駆られました。そして、創作活動の末席を汚している自分も、もっと頑張らねばならないと、奮い立ちました。

★★★ Excellent!!!

 何となくBGMに「月の砂漠」が流れているような気がしました。

 優しい語り口と穏やかな物語が続きます。砂丘の近くに住んでいたことがあるので、凄く情景が浮かんできました。静かで優しい。

 人気のお話ですので、それだけではありません。驚きと感動があります。最後は納得もしてしまうのですが、読後は爽やかです。

 コロナ禍が終わったら、西域は一寸遠いですが、砂丘に行きたくなりました。

★★★ Excellent!!!

久しぶりに本物の現代小説を拝読しました。
松本清張さんや井上靖さん、司馬遼太郎さんの作品のように、これから長年の歳月の濾紙に堪え得るであろう、本物の文学がここにあります。
砂漠の底の底の、地の底に滾々と湧いている泉のような、表面的にはちっとも切なくないのに、なぜか強く心を揺すぶられずにいられない、そんな一級の文学作品です。