なごり桜

作者 陽澄すずめ

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★★★ Excellent!!!

友人に頼まれて母校の写真を撮りに来た主人公。現在の彼と、高校時代の彼が交互に語られるのが、青春の1ページの煌めきと、全てが過ぎてしまった侘しさのような感覚を交互に感じさせて、良い味を出しているなと思いました。

読んでいると、最後に切なくなってきました。届かなかった恋、きれいに終わらせた思い出。昔の中学、高校の頃の自分を思い出してしまって、感傷的な気分になっています。

★★★ Excellent!!!

久し振りに母校を訪れ、かつて過ごした場所を巡る主人公。当時の思い出がよみがえります。
当時は何気なく過ごしていた毎日。あるいは、そんな日々の中で微かに抱えていた甘酸っぱい思い。その全てが、キラキラと輝いているようでした。

青春なんて、改めて口にすると何だか気恥ずかしさを感じます。ですがそれは、誰もが経験する特別な時間。そしてその価値は、彼のように振り返って初めて気付くものなのかもしれません。

かつて高校生だった人は、これを読んで自らの思い出を振り返ってみてはいかがでしょうか。

★★★ Excellent!!!

結婚式を控えたその日、サクラの写真を撮るため母校を訪れた主人公。
蘇ってくるのは、時代の思い出たち。退屈な授業も、ふざけ合った友達も、いつかの恋心も、全ては遠い日の出来事です。

大人になった今だから分かる、あの時あったキラキラとした大切なもの。当時は気づかなかったけど、当り前だと思いながら過ごしていた日々は、きっとかけがえのない宝物だったのでしょう。

このお話を読んで、あなたも昔を思い出してみませんか?忘れてしまっていた暖かいものに、また出会えるかもしれません。

★★★ Excellent!!!

白に近い桜色に誘われ、母校を訪ねた主人公。
フラッシュバックしていくあの頃の思い出は、もう戻れないものばかり。

あの頃は、自分の「大人」になった姿が想像できなかった——。

そして、

「あの頃」の自分が意識していた異性が大人になった姿は、何年経とうとも、想像できなくて——。
頭に浮かぶのはセーラー服の彼女のみ。
消しゴムを半分にして、くれた彼女のみ。

ラブストーリーでもなく、青春小説でもなく、想い出の話。
さぁ……っと心に桜色が染みてくる、そんな文章です。とっても綺麗。


素敵な話をありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

結婚を控えた男が、カメラ片手に母校を歩く……
これだけでもうなんだか胸に来るものがあるのですが、読んでいくとなつかしさと切なさが溢れて止まらなくなります。
ストーリーも綺麗にまとまっている上に「ああ〜そっちか〜!」というような仕掛けもあって見事なのですが、特筆すべきはその描写。
見えます。感じます。なつかしい日々を、すぐそこに。
学校独特の静けさ、扉や壁の色、傷、光、影、机の匂い、湿度、空気の声まで。
手に取るように、こんなに鮮やかに感じられる文章が、ほかにあるでしょうか……
もう戻らない春を、私たちはこの作品で感じることができるのです。
春。新しく、儚い季節。
思い出と現在、そして未来に思いを馳せながら、心のレンズを覗いてみてはいかがでしょうか?

★★★ Excellent!!!

特別に可愛いわけではない、クラスの中で目立つ存在というわけでもない。

客観的に見れば、目立たないタイプの女の子をふとしたきっかけで好きになり、いつもその子を意識するようになる。授業中も、購買部にいるときも、友達とふざけ合っているときも。他の女の子とは違う、特別な存在に見えてくる。どうすれば、あの子に自分を見てもらえるだろう? でも、何もできず、卒業の日を迎える。

そんな高校時代の淡い片思いを、15年後、自分が結婚するときになって、
母校を訪ねて写真を撮りながら思い出していく、というストーリーの短編です。

あの頃への郷愁を誘う情感あふれる文章、共感を覚えずにはいられない男子高校生の心の機微。

この短編を読み終えたら、連載中の長編をはじめ、作者さんの他の作品も読んでみてください。
女性の心理はもちろん、男性の心理も驚くほどよく分かっている人です。