カメラのファインダー越しに見る「あの日の君」

特別に可愛いわけではない、クラスの中で目立つ存在というわけでもない。

客観的に見れば、目立たないタイプの女の子をふとしたきっかけで好きになり、いつもその子を意識するようになる。授業中も、購買部にいるときも、友達とふざけ合っているときも。他の女の子とは違う、特別な存在に見えてくる。どうすれば、あの子に自分を見てもらえるだろう? でも、何もできず、卒業の日を迎える。

そんな高校時代の淡い片思いを、15年後、自分が結婚するときになって、
母校を訪ねて写真を撮りながら思い出していく、というストーリーの短編です。

あの頃への郷愁を誘う情感あふれる文章、共感を覚えずにはいられない男子高校生の心の機微。

この短編を読み終えたら、連載中の長編をはじめ、作者さんの他の作品も読んでみてください。
女性の心理はもちろん、男性の心理も驚くほどよく分かっている人です。

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