大家一元

難解な作品です。「読み易さ度外視」と銘打っておられる通り、純粋な面白さよりも読み解く楽しさを追求した作品と言えます。 作者様の他作品と比べても、裏側にある設定の量が並外れて膨大。…続きを読む

性交渉というのは、ある意味で最も現実的でグロテスクな「人間」を眼前に突きつける行為だと思うのですが、「かすみ燃ゆ」で放たれたかすみの光は、古色蒼然とした、おどろおどろしい寒村の中で…続きを読む

初っ端からゴールデンラズベリー賞受賞作の紹介から始まり、二作目、三作目、四作目まで読んでもう、取り上げる映画一つ一つの魅力をこれでもかと訴えかける筆力と熱量に圧倒された。 紹介さ…続きを読む

異世界モノで、こんな普通の人に転生して、挙句に何ら特別なドラマが起きない小説は初めて読みました(笑) 勇者の視点に立つと、偶然通りかかった島にいた、なんだか裏がありそうな謎めいた…続きを読む

本作の著者・ネギま馬さんが「二十歳の原点」に感銘を受けていたことはエッセイを読んで知っていたので、その一節が登場した際には「えらく素直だな」とちょっと意外に思いましたが、まさに高野…続きを読む

この四篇の物語、特に表題にして最後を飾る「ミミのしっぽ」は、一見して何の繋がりも無いように思われますが、そこで描き出そうとしているものはある種共通した、人間の本質なのだろうと思いま…続きを読む

高校卒業なんてまだほんのちょっと前の記憶だと思ってましたが、なんだか自身の老化を思い知らされました。 若さエネルギー欲しさに、思わずパラパラとページをめくってしまう…… 誰かの自…続きを読む

「アスコラク」を読んだ後にこれを読んで、何だかホッとしました。 どちらも宗教を取り扱っていますが、本作は実際にあったお話。アスコラクは丁寧に紡がれた小説。 「宗教とはどうあるべき…続きを読む

一貫して現実から逃げない陰鬱な空気を纏ったストーリーであるが故に、時折垣間見える真の美しさに心を揺さぶられます。 作中で取り扱われるあらゆる物事への深い造詣を窺わせる描写、時間軸を…続きを読む

活字でしか表現できない狂気を感じました。
これを提案した奥さんと、これ程の短期執筆で物の見事にやり遂げた増黒さんの技量に、惜しみない拍手を送りたいです。

個人的には、ある程度俯瞰して物事を考えられる大人が読むべき短編だと感じました。 どこか淡々と伝えられるメッセージ性は勿論、お話の構築能力も素晴らしい。是非ともご一読をお勧めします…続きを読む

読み手を幻惑するような独特の文体で描かれた本作は、最初から最後まで難解かつ解釈の広がりがある怪作です。 不眠の末に起こるあの渦を巻くような頭痛を思わせる、独特の快感とも不快感とも…続きを読む

文章で色を表現するというのは、僕の中で最大の命題であり、同時にとても難しいことなのですが、この作品ではそれが成し遂げられています。 本作で表現されたものはある小説家の「死」と「幸…続きを読む

自殺した主人公が天使に蹴落とされて転生した世界は、魔王の支配する異世界…… とだけいうと、なんだか重苦しい話のように見える。 でも、ここで描かれているのは人の愛、人の優しさ。そし…続きを読む

僕は異世界モノに疎い人間です。 が、「探偵」というジョブを与えられたひ弱な主人公が、異世界を舞台に次々と難事件を解決していくという斬新な筋書きと、そこに登場する様々な人物、丁寧に練…続きを読む

冒頭から最後まで、すぅっと流れるように入ってきました。物語も、景色も、そして作者様の主張も。訴えの内容にも共感できました。 ともかく超絶クオリティです。もっと評価されるべき名作だ…続きを読む

紹介文にもありますが、中学時代に書かれたとのことで確かにそれを窺わせるようなある種の「幼さ」が、台詞回しなんかには窺えました。 しかしそれ以外の部分。 精緻でいて詩的な美しさで描…続きを読む

平易な文体と、程よく肩の力の抜けた童話チックな物語が次々と展開される、純粋なエンターテイメントです。 それでいて作者様独自の、貴族社会に対する批判や倫理観が随所に見られ、大人も子…続きを読む

作者様の心情を冷凍保存したよう。景色と表情が流れ込んできます。

想像つきます？ 暗い夜の山の中で、どういうわけだか光り輝いて絡み合う男女だけが、ぽっかりと浮かび上がっている光景。 こうして直接説明したって、何のこっちゃ全く分からないでしょう？ …続きを読む

イメージカラーに使われている色は『薄群青』と言うそうです(今調べた)。 刺すような冷気を漂わせるこの色にピッタリな世界観を、作者の坂水先生は文章で『完璧』に表現しています。これは…続きを読む

拙作の論評を頂き、有意義な助言、情報が大量に詰め込まれた内容に驚き、大いにこの先の参考となっただけでなくモチベーション向上にも繋がりました。 こんな批評を書ける人間になりたい(笑…続きを読む

これはすっごいです。ナントカ全集に載っていそうな、魔力のある短編です。