概要
この作品は「第3回WEBコンテスト」読者選考通過作品に加筆したものです。
一章5万字くらいで、それぞれ独立しておりますので、どこからご覧いただいても構いませんし、一章だけでのご感想も大歓迎です。
<雨の日の祈り>
「雨籠り」の禁を犯して、村八分になった少女。少女は天使と出会い、自分と「雨籠り」に隠された謎に迫るのだが――⁈
<ナチャートの悪夢>
「雨の日の祈り」と並走していたもう一つの物語。静かな町で起こった大量殺人事件の裏にあったものとは――?
<赤い大地>
赤い大地に天使が落ちる。人々は天使を恐れ、別な物を教会に祀った。
果たして、教会に祀られたモノの正体とは?
そして、「赤い大地」に隠された人々の願いとは?
<水宮の姫君>
厳格な身分制
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!不条理の糸を断ち切る首狩天使の大鎌
まず重厚な世界観に圧倒されました。町や村、人々の生活、社会構造などが詳細に描写されていて、本当にその土地の空気を吸っているかのようです。散りばめられた謎が解き明かされて新たな世界が見えてくる仕掛けに、ぐいぐい引き込まれていきます。
登場するのは、生きるのに必死で悪意のない若者達。運命のいたずらか、社会が内包する不条理ゆえか、彼らは罪に問われることになってしまう。そして彼らの前に現れる、「人の道を外れた罪人の首を狩る」のが役目のアスコラク。
なぜ被害者とも取れる者たちの首を狩るのか、それはぜひ読むことで感じ取って欲しいです。決して一面では捉えられない世界の、人間の、天使の、多くの声が立ち上がっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!渦を巻く残酷な運命の中を舞う羽は、一筋の救い。
世界観に圧倒されます。誰も見たこと・行ったことのない異世界を、色鮮やかに書ききる描写力により見事に表現されています。
人の道を外れた主人公達は、個人の力では抗うことのできない理不尽な状況によって、残酷な運命へと導かれてしまいます。彼らのもとに遣わされるのが、アスコラク。標的となった主人公達の、首を狩りにやって来るのです。
何故ここまで、世界というものは理不尽きわまりないのだろうか……その中で、アスコラクは一筋の救いの光にも思えてくるのです。
物語はどこから読んでも良いのですが、是非とも最初から読んでいただきたいです。伏線の数々が回収され、最後は読み終えた達成感と感動に浸ることが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!運命とは、理不尽。剥き出しの痛みを抱えて生きる人間と天使の物語。
運命とは、理不尽なもの。
ものを書く側の気持ちとしては、その理不尽さの中で、それでも何とか主人公に希望を掴ませたいと思いがちです。
けれど、この物語の中には、ある意味都合の良いハッピーエンドなどありません。
あるのは、どこまでも理不尽な運命の過酷さ。そして自分自身に降りかかる運命の容赦ない苦しみや痛みを抱え、勝算もないままに血を流して戦う人間の姿です。
「アスコラク」とは、様々な理由で人間としての道を踏み外したことにより「標的」となった者の元へ舞い降り、その人間の首を大鎌で狩る役割を与えられた、美しい天使の名です。
けれど——読み終えた後、この一見残忍な天使は、ぎりぎりの瀬戸際まで運命に追…続きを読む - ★★★ Excellent!!!洗練された美しきダークミステリー
壮大なお話でした。壮大で深く、ここまでの芳醇なお話に出会えたことを感激しています。
世界観の地盤がしっかりとしていて、厳しい現実の中で生きる人々の様々な想いやあり方が詰まっており心に響きました。風景描写、心理描写、なにもかもが丁寧で生々しく極上で、悲しくもありますが熱くもなります。
神聖さすら感じられる表現力はただただうまいと感動しました。静謐でありながら、力強いところは実に雄々しく揺さぶってきます。文章の強弱やストーリー構成、仕込み方が本当に巧みです。素晴らしいです。読んでいる間、最高の時間を頂けました。
どこから読んでも楽しめますが、個人的には一から読んだほうがやはり色々とにやけたり感心…続きを読む - ★★★ Excellent!!!短い言葉のやり取りには、意味がある。名作の二文字以外あり得ない!!
「アスコラク‐首狩天使‐」、
「アスコラク」、一番はどういう意味なのか?
読み進めていくうちに、「美」が浮かぶ作品と感じました。
ミステリーでありダークな雰囲気も忘れない世界観が丁寧で、情景表現も個性がありながら、楽しめます。
物語としては、しっかり読んだうえで「もう一度読み直したくなる」のがこの作品の魅力でもあり、特に各章の短い言葉がとても好きです!!
「雨の日の祈り」、「ナチャートの悪夢」が中心となり、物語は展開、および起承転結がしっかりしているので、これは賞をとった作品じゃないのか……と、少しびっくりしました。
とても濃厚かつしっかり構成された物語なので、本当に名作です!! - ★★★ Excellent!!!アスコラク、素晴らしいの一言に尽きる!
『アスコラク‐首狩天使‐』を拝読させて頂きました。
とにかく、素晴らしい! 色んな時代、色んな地域で暮らす人々。多種多様な文化の中で、必死になって生きる人たち。人々の喜びや怒り、悲しみが、丁寧に描かれています。作者様の才能によって、人々の息遣いが聞こえる……それ程、リアルなものになっています。
アスコラクは、不幸な少女と出会います。イネイとアス。天使と少女は、共に行動します。100年経っても、二人の絆は切れません。
アスコラクは、人の道を踏み外したものを裁きます。ただ、罰するのではなく……。人ではない、可哀そうな化け物たちを、救う為に。
イネイも、アスコラクに救われました。天使と少…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天使と悪魔の不条理、人の業、その狭間を行く者・「アスコラク」
一貫して現実から逃げない陰鬱な空気を纏ったストーリーであるが故に、時折垣間見える真の美しさに心を揺さぶられます。
作中で取り扱われるあらゆる物事への深い造詣を窺わせる描写、時間軸を超越した緻密な構成。
そして、天使も、悪魔も、人も、皆が皆己の都合で動く中で、唯一その全てに理解を示す「異形の天使」アスコラクは非常に不可解な存在でありながら、言い知れぬ魅力を放っています。恐らく、この世界において、この物語においてこそ輝く、唯一無二の「主人公」なのではないでしょうか。
本作の見どころは、挙げていけばキリがありません。続編への期待も抑えられません。
「自分如きが何か書いて良いものか」と、レビューを…続きを読む