天使と悪魔の不条理、人の業、その狭間を行く者・「アスコラク」

一貫して現実から逃げない陰鬱な空気を纏ったストーリーであるが故に、時折垣間見える真の美しさに心を揺さぶられます。
作中で取り扱われるあらゆる物事への深い造詣を窺わせる描写、時間軸を超越した緻密な構成。
そして、天使も、悪魔も、人も、皆が皆己の都合で動く中で、唯一その全てに理解を示す「異形の天使」アスコラクは非常に不可解な存在でありながら、言い知れぬ魅力を放っています。恐らく、この世界において、この物語においてこそ輝く、唯一無二の「主人公」なのではないでしょうか。

本作の見どころは、挙げていけばキリがありません。続編への期待も抑えられません。
「自分如きが何か書いて良いものか」と、レビューを書くこちらの手が震えてしまう程の超・大作です。是非ご一読を!

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