たかが通過点、されど通過点

異世界モノで、こんな普通の人に転生して、挙句に何ら特別なドラマが起きない小説は初めて読みました(笑)

勇者の視点に立つと、偶然通りかかった島にいた、なんだか裏がありそうな謎めいた老婆とのたった一度の対話に過ぎないのですが、それが無ければ魔王討伐はなかったのかも……という話。

役割を意識せずぼんやりと、空虚な想いに駆られて日々を生きている人も、実は重大な何かを成し遂げているのかも知れない。そしてそんな世にも可笑しなイベントは、事あるごとにあるかも知れないぞ、というような、小さな希望を与えてくれるお話です。

飽和状態の異世界モノも描く角度をちょこっと変えてみるだけで、こんなに新鮮で面白いのですね。壮大なドラマなんて、なくても良いのです!