未晶の時

イメージカラーに使われている色は『薄群青』と言うそうです(今調べた)。

刺すような冷気を漂わせるこの色にピッタリな世界観を、作者の坂水先生は文章で『完璧』に表現しています。これは大袈裟ではありません。

そしてこれは、この作品に限ったことではないのです。
坂水先生の書かれたあらゆる作品には、その悉くがまず目に飛び込んで来るイメージカラーとピッタリの『色』があるのです。

ファンタジー、SF、現代劇、時代劇……この中に、人によっては苦手なジャンルもあるでしょう。
しかし読んでみてください、この人の作品を。

きっと貴方の世界が変わります。

結晶が魅せる、たった五分間の想い。
幻想的でメルヘンな数秒でも、削り続ければいいつかは無くなってしまう。

想いを聞きたい、知りたくても、終わってしまう切なさは計り知れませんよね。

善政の前王。冬の王――。
声も、想いさえも晶化する森の中で、時間の止まった彼と、時間ばかり進む主人公の対比も、考えさせらます。

素敵な物語をありがとうございました。


にぎた