「灰」を含む小説

大学三年生になって所属された数学ゼミには、水野浩樹という院生の先輩がいる。 はじめて自己紹介をしたとき、彼は言った。 「目が悪いので、もしかしたら迷惑をかけるかもしれません。僕に…

わたしたちは耐えられません。灰はセメントに混ぜ込まれて、煉瓦と煉瓦の継ぎ目、壁の隙間、家々の屋根や柱や駅舎や裁判所や、劇場の天井なんかに収められていくでしょう。 そうした無数の場…

　風が、灰栗色掛かった長い白髪を攫っていく―― 　時は淕明六年、照本の国をたった一人で旅する少女がいた。 　少女の名は玉麗。二本の刀を携えた、狐耳の少女だ。 　彼女には、あ…

群馬県立長東高校。その高校二年生に二人の人気者がいた。そのうちの一人、高宮 湊には裏があった。 そんな湊ともう一人の人気者である疾風 悠人、そして他二人の女子生徒は学校の帰り道、…

　バリスティック大陸の最北端に位置する、不浄の大地、ギルディア。天に渦巻く死神の黒衣は、あるべきすべての恩恵をその場所から毟り取っていく。 　薄暗い灰一色に染められた世界は、あら…

　灼熱の砂漠と乾いた荒野。その向こうに、緑の秘境――。 　本大陸を南に行けば、そこは亜大陸。精霊たちの大地がある。 　ゼオートの紀元神群、東方の竜神信教、異界から訪れる飛来…

次々と人間が灰化して滅びつつある世界で精いっぱい生きる誰かの生存記録

ぼくは彼の犯罪現場を覗いている 彼にはぼくの日常が覗かれている 毎週火曜日金曜日くらい更新 12万字

　K市で起こった大規模事件より十年以上の時が過ぎた。 　行方不明となった、ある種伝説的なイリーガル『太陽壊し(イクリプス・スコール)』。その片割れである灰村玲愛は、ドイツの片田舎…

かたや、西の魔女。 かたや、東の老人。 共に目指すは待ち人在りき、かつての戦地。 呪い渦巻く、焦土の先。

※完結済みの「紫灰の日時計」「真夜中の虹」に続く物語です。（単品で読んで頂いても大丈夫です） GC629・エウロ 初恋 × 陰謀 × 近親 十二歳の誕生日を控え、養育先から…

★「紫灰の日時計」の続編となります。もし読んで頂ける場合、先に紫灰の日時計から読まれることを強く推奨いたします。 「この姫のために、不幸になっても構わないか？」 皇帝アーシ…

高速回線が、全ての社会活動の動脈となった近未来。 仮想世界の裏道を行く者にとっての天敵、それが真崎涼也だ。 無敵と思われた彼を脅かす存在が、この日、世界を侵蝕し始める――。 電…

僕は僕で君は君。 ただ、それだけのこと。

　百年戦争の最中、祖国によって見捨てられ死に至った聖女、ジャンヌ・ダルク。その救出を希いながらも、恐怖から身動き一つ取れなかった一人の騎士は、セーヌ川で彼女の遺灰をかき集めながら…

大陸を東西に分ける連山・ティナ。 その麓に王都を持つティナリール王国は、緩やかながらも確かな繁栄を続けていた。 ところが今から五年前、穏健派だった東の領主が突如蜂起、およそ三年が…

　幼くして両親を亡くした少女ヒナは、特別な左目をしていた。その目は、只人には見えない人ならざる存在である「怪異」を見ることができた。だが不幸なことに、見えてしまったがために彼女に…

いつも笑っているけど苦しい過去を背負う、空。荒っぽいけど優しい、零。そして不良ちっくで元気っこだけど虐待を受けていた、透。 汚れ仕事を全般的に引き受ける「国家特別防衛機関」そこの…