「けもの耳」を含む小説

昔はよく耳にした、 「俺年越しは地球に居なかったから！」 　と言うジョークから着想を得た短編です。 　随分古いものなので、文章に齟齬があるかもしれません。 　 　お読みになる方は…

これは主人公である早見柳太郎（はやみりゅうたろう）が1匹の猫を拾ってきたことから始まる物語である。 とある雨の日、学校から帰宅していると電柱のそばにダンボールが置かれその中には雨…

　清龍滝の辺には、暗くて深い淵があった。滝壺から来る複雑な水の流れが、淵に落ちた者を水底へ飲み込む。そう言い伝えられる通りに、其所から水死体が上がる事は滅多にない。其故、またの名…

　「アン・モヴェ・レーヴ公の覚書」という文書群をご存知だろうか。 　そこには、世界のあらゆる地域から齎された奇怪な幻想が記録されている。 　延々と紡がれ続ける物語達は、お互いに連…

フランシス・ルシエは歯の浮くような戯言ばかりを口にする貴族の青年画家。そんな彼のモデルになってしまった美少女アルメルは、今日も冷静に耳を塞ぐ。「ねえ、アルメル。人間が生きていくう…

ほとんどがつまらない授業なわけですが、時々、いえ、ごくまれに面白い話ってありますよね。 それを聞いて、授業中に書いた話です。 小説風にしてますが、一応、エッセイかなと思うのでジャ…

西暦二〇五五年。極超音速で行われるレーシングゲーム“キャノンボール” は、そのあまりの刺激の強さに死亡者が相つぎ、アーケードからは放逐されて「プロ」同士の対決するものとなっていた…

何も知らなかった。ただ人の噂に流され、生きることを放棄しようとした。しかしそれは叶わなかった。 無知だった少女はやがて知識を得て生まれ変わる。その心にひっそりと隠された気持ちを育…

　これは妻であり母である女性を亡くした父と娘、そして新たに家族として加わる女性との、音楽による家族再生の物語である。 　荻窪の地で祖父の代から細々と喫茶店を営んでいる近衛新(あら…

　生来からの怠け者で、ぐうたらで、ろくでなし。「働いたら負け！」が座右の銘で、4行以上のセリフは寝てしまうという、神様から折り紙付きで、熨斗まで付けられたダメ人間・新居浜透が、事…

『やあやあ！　まずはこのような場所を提供してくれたこと、そして今現在、自分の語りに耳を傾けてくれている事に深い感謝を！　自分は“Ｄ＝オータムバイン”。Ｄは略称だ。なに？　何の略…

いつからそこにあったのか分からない、そしてどこに行けばいいのかも分からない。 だから彼女の彼への恋心はくすぶり続けていて、それは不思議な少女との出会いで燃え上がろうとするのだけど…

猫耳メイド、ニャンコ。 陰険メイド、貞子。 問題執事、ヨシノリ。 お嬢様、アカバ。 　の三人が事件の謎を追う。そんな話です。 　 　殺人などは起きないゆるいミステリです。 　数…

　人々が言う黄金の世紀だとしても、この“街”は何も変わらずただ煤けた暗い黄昏の街だった。 　この“街”に名前はない。あったとしても忘れられただ、“街”とだけ呼ばれる鉄と蒸気の街。…

カレンダー小説企画に参加させて頂いた時の作品です。１１月の担当でした。

　ある街である女性が姿を消した。恋人である香介はアテを探し回るも見つからなかった。そんな折、彼の耳に女性ばかりが被害に遭っているという連続行方不明事件の一報が入る。 同日同時…

人間の少年に化け、「人間でない存在が住む場所」と「人間の住む場所」を行き来している狐、蒼葵。 ある日、蒼葵が駅でぼんやりしていると、目の前で女性が自殺しようとする。 その女性を蒼…

獣人《じゅうじん》と人間とが共存する詩樹大陸《しきたいりく》の四つの国では、誰もが植物の種に想いを込めることができる。その種に込められる想いの量や、想いを留めておける時間は種の種…

夏休みのある日。六人の少年少女たちに突如として超能力が芽生えた。それに呼応するかのように地球内部から生えてきた「生きている宇宙船」。主人公たちの得た超能力は宇宙船を飛ばすために必…

――魔狼は夜明けへと咆哮する。 宗方由紀は常識の中に生きる人間だ。 学校に通い、数は少ないが友人と声を交わし、家に帰り眠る。 変わったところといえば、絶望的に美意識センスがないこ…