舞台は近未来。肉体から取り出した自我が最速を競う「キャノンボール」という競技がまず魅力的。主要人物は二人。どちらも王道ど真中のキャラ配置。ハリウッド映画を彷彿とさせる軽妙な台詞回しも作品に色を添えて、これで面白くないはずがない。唯一、レース後半があっさりめだったのが寂しかったです。もっと長く読みたかった。コブラの惑星落下レースをまた読みたくなりました。アーニャさんマジちょろイン。
後半のレースが半端ない。肉体という器を抜け出して超音速で飛ぶレースの迫力がすさまじい。精神を削られるような集中の中、少しでも気を抜けば死ぬかもしれない極限の緊張感に釘付けになる。少し描写が弱い部分もあるけれど、そこは想像力でカバーしよう。読後感が最高にいい。
もし自分が光となって地球上を飛び回れたら。ゲームという媒体を取りながらもリアルとして地球上を舞台に行われる疾走感抜群のレース小説だ。小生意気で生き生きとしたヒロインとのやりとりもこの小説の魅力を引き立てている。文章量もほどよいので是非最後まで駆け抜けてほしい。