第7回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞者インタビュー|楠木のある【ラブコメ(ライトノベル)部門】

2021年冬に開催した「第7回カクヨムWeb小説コンテスト」のラブコメ(ライトノベル)部門大賞受賞作がいよいよ明日7月20日(木)に発売されます!
そこで、『迷子の女の子を家まで届けたら、玄関から出て来たのは学年一の美少女でした』(イラスト/古弥月 ファンタジア文庫)の著者、楠木のあるさんにインタビューを行いました。
受賞者が語る創作のルーツや作品を作る上での創意工夫などをヒントに、小説執筆や作品発表への理解を深め、今冬開催予定の第9回カクヨムWeb小説コンテストの参考にしていただけますと幸いです。

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第7回カクヨムWeb小説コンテスト ラブコメ(ライトノベル)部門大賞
楠木のある
▼受賞作:迷子の女の子を家まで届けたら、玄関から出て来たのは学年一の美少女でした
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──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。

 小説を書き始めたのは最初はすごく上手な絵を書いて、自分で漫画やイラストが描けたら楽しいだろうなと思い、漫画やイラストを描こうとしたら、絵が下手すぎて、絵を練習するのも今からじゃ遅いかもしれないと感じてイラストや漫画を描くのは諦めて、ならストーリーを考えるのは好きだから、そっちの方向で書けば楽しくなるんじゃないだろうかと考えて、気づいた時には小説を投稿していました。なんなら、漫画やイラストを描くよりもストーリーを考える方が好きでした。さらに好きになったのは自分の作品を投稿してからです。
 影響を受けた作品は、『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』です。自分が絶対に影響を受けたと言い切れます。私はライトノベルのことが詳しくなく、小説ではなく漫画を買って読んでいました。そのときにふと手に取って読んでみたのがお隣の天使様でした。前まで、自分の中で小説は途中で飽きてしまうという感じだったんです。自分が飽き性というのもありますが。しかしお隣の天使様は、自分が一気に最後まで読める作品で、当時革命でした。またアニメや漫画に興味を持ったのは『けいおん!』を見たからです。けいおんを見ていなかったら、私は今ここでインタビューの記事を書いていないかもしれません。

──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?

 オリジナリティに関していえば、迷子を家まで届けるところから始まるラブコメってところですかね。あとは現代を舞台に主人公が奥手でヒロインは元気で正反対の二人というキャラ設定にしました。たぶん自分はこういう女の子が好きなんだと思います。そしてこういう女の子が皆さんも好きで自分と一緒だったため、ヒロインの魅力がより一層伝わったことが支持された点じゃないのかなぁと勝手に思っております。あとは、王道の展開やすこし王道から外れた山場などを作ったことや、これ以上ないというヒロインの魅力を詰め込んだことが良かったのかなぁと思っています。

▲2023年7月20日発売『迷子の女の子を家まで届けたら、玄関から出て来たのは学年一の美少女でした』(イラスト/古弥月 ファンタジア文庫)。

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──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。

 主人公の黒田雄星とヒロインの白河綾乃、この二人の甘く、じれったい日常がとても好きです。主人公の黒田は奥手でヒロインの白河とは釣り合っていないとネガティブな考えをしてます。しかしヒロインの白河に対して、無自覚なアタックを仕掛けることがあります。一方で白河の方も気づいてもらうために黒田に対しては甘えたり、わざと意識させるようなことをしますが、ずっとすれ違い。しかし時にもう付き合ってるんじゃないかこの二人と思う瞬間、夫婦のような日常的な会話が気に入っています。

──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。

 今回、初めての書籍化で作業をして、加筆と修正では、とても勉強になりました。これで終わりではなく、まだ小説を書こうとは考えているので、本当に勉強になりました。特に、一文を短く書き、同じ文になるべく同じ文字や連続して漢字を使わないなど、自分が知らないことを教えてもらいなるほどなぁといつも感じていました。実際に編集者さんからは多くのことを教えてもらいました。クエスチョンマークを使った後は一文字空ける、こんなの誰でも知ってるよと言われるかもしれませんが、自分は知らなかったので勉強になりました。今回の書籍化作業は自分的にはまだまだ勉強、知らない世界に一歩踏み入れただけで、ここからがスタートラインなんだと感じました。

──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。

 書籍版の見どころは色々ありますが、やはり加筆修正と新キャラの登場ですかね、Web版には登場していないキャラが登場します。そこは見どころになっているかなと感じています。それと作品の中で外せないのは、ヒロインの白河の可愛さは外せません。イラストレーターの古弥月さんのイラストのお陰もあり一段と可愛いと言えます。ヒロインの良さを消さずに、新キャラと主人公の絡みも面白く、いいラブコメになったんじゃないかなと感じております。楽しんでいただけると、嬉しいです。

──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?

 私の工夫や努力は、他の作者や他の人からしたら、小さなことなのでこの場で話していいことなのか不安になります。
 話を投稿するときに、一話ずつ投稿するのではなく、最新の作品を書いたとき最初の投稿は最低でも5話は一気に投稿、もしくは予約投稿で一時間おきとかに投稿します。投稿の時間は私の場合はほとんど決まった時間に投稿しました。たしか00:00に投稿していました。あとは、自分の好きな作品を参考にしたり、自分の好きなシーンを書いたりすることが大切だと思います。あとはタイトルにどれくらい話の要素を盛り込んで、読者の目を引くか。最後に一番大事だと思っているのは、畳みかけるタイミングです。少しずつ人気が出てきたとき、その流れを終わらせないためとさらに読者を引き込むための畳みかけが大事だと考えています。

──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。

 私が作品投稿をはじめて二年くらいですかね? 大賞を受賞したのは投稿をはじめて一年がたったくらいだと思います。自分が大賞? と思う事もありました。逆にここだけの話ですが、カクヨムコンに参加している時は大賞はなくても、他の賞には絶対いったと根拠のない自信がものすごくありました。また自分はモチベの浮き沈みが激しく、小説を書かない日なんて今でもざらにあります。しかし、どこにいても、ストーリーの構成や、新しい小説の展開などは頭に浮かんでくるんですよね、ふとアイデアがわいてくるんです。そして、自分の作品が上手くいかなくても、次の作品を書いています。成長するには、時に休んだり、時に立ち止まってもいいから、続けるしかないんです
 私は他のライトノベルが好きな人からしたら、反感を食らうような作者だと自分で思っています。ライトノベルをあまり読んでおらず、知識も少ない、しかし小説を書いて、多くの人に読んでもらいたい、一人でも多くこのキャラの魅力に気付いてもらいたいと願っている作者なのです。毎日、小説を書いているわけではございませんが、書かないことには始まりません、伸びなかったら、原因を探せばいいんです。そうやって、修正と挑戦をしていくことが大切だと思います。たまには息抜きに違うジャンルを書いてみるのもいいかもしれませんね。それと小説を書こうかなと迷っている人、いるかもしれません。これは自分のことですが、私は小説を書きたいなと思った時にはその日の夜には小説を投稿していました。怖いなんて思わずに、自分の書きたいストーリーをかけるのがWeb小説のいいところだと感じますよ。それに、カクヨムの民度はこれでもかってくらい温かいので、大丈夫ですよ。ね? みんな。

──ありがとうございました。


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