声優・高橋李依:本を開けば、大好きなキャラクターたちが待っている|「次にくるライトノベル大賞」開催記念特別企画

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現在、「次にくるライトノベル大賞」が開催中です。
「次にくるライトノベル大賞」は、次世代にブレイクするであろうライトノベルを一般読者自らがエントリーし、またユーザーの投票で大賞を決める、新しい賞です。
それに合わせてライトノベルにゆかりのある著名人の方にインタビューを行っております。今回はライトノベル原作アニメにも多数ご出演されている声優の高橋李依さんに、読書やライトノベルに関するお話を伺いました!

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――普段、小説をお読みになりますか?

高橋:時期によって読んだり読まなかったり、結構波があります。一度ハマると、しばらく他には何も手を付けないくらいその事ばっかり考えちゃいます。最近では、携わらせていただいた作品やオーディションを受ける際に読むことが多いですね。

――読む作品を決める際、どのような基準で選んでいますか? また、選ぶ際のこだわりがあればぜひ教えてください。

高橋:登場キャラの属性や、舞台設定など、萌えるアンテナがピンと来たら……(笑)
私の場合は、中性的なキャラクターや、ダークさのある雰囲気、変身願望が叶うような展開が特に好きなので、裏表紙やイラストにそんな香りを察知したら食いつきます。


――次に読んでみたいと思う作品は、どのような作品でしょうか?

高橋:今は、作中でお芝居をするような展開が読みたい気分です。違う自分になっている時の鼓動とか、ドキドキ感を、地の文で没入させてほしい。舞台に立ちたい! みたいな欲を、小説で満たしたいですね。


――逆にみんなに読んでもらいたいオススメの本がありましたら、ぜひ教えてください。

高橋:携わらせていただいている作品以外だと、「カッコいい女の子」と「演技」という属性が含まれた『処刑少女の生きる道』/佐藤真登(著)にトキメキました! 冒頭の展開から驚かされ、常にスピーディーな読み応えでドキドキしっぱなし。職務を全うしようと努める女の子も大好きなので、メノウちゃんが推しです


――ご自身が「本を読むのが楽しい」と感じた、最初の思い出を教えてください。

高橋:小学生の時、教室の後ろの棚に、先生の娘さんが読み終わった本がお下がりで置いてあって。借りるだけでなく、気に入ったらそのままもらっていいとのことだったので、宝探しのような感覚でよく漁って読んでいました。


――これまで読んだライトノベルの中で気に入っているシリーズや、その作品に関する思い出などがありましたら教えてください。

高橋:前述した学級文庫で見つけたお宝でもあった、喜多みどり先生の『西風の皇子(ディディウス)』シリーズ。ライトノベルという単語すら知らない頃に好きになった、人生最初の推し作品です。今作の主人公である少年皇子ディディウスが、女神メイヴェーラと身体を共有し、入れ替わりながら展開していくストーリーです。自分が今現在、中性的なキャラクターを好んでいるのも、ディディウスへの憧れから来ているのかもしれません。


――声優としてお仕事をされるにあたり、読書の経験が役に立った、と思うようなことはありましたか?

高橋:常日頃感じています! 台本を読み進めては振り返り、別パターンの気持ちの可能性も考え、下準備する毎日で。私はこの作業に時間をかけてしまうのですが、日々の読書で磨いていたら、更に別の視点にも素早く気づけたのかなと。現場でも引き出しは多いに越したことはないし、お芝居の方向性をスタッフさんと共有して生かしていくのにも、適切な表現や語彙が必須です。役に立たないことは一つもないと思います。


――『この素晴らしい世界に祝福を!』や『Re:ゼロから始める異世界生活』など、著名なライトノベル原作のアニメにも多く出演されていらっしゃいます。演じられたキャラクターに関する好きなシーンなどがあれば教えてください。

高橋:難しい……! 読んでいて好きなのと、演じてみて好きなのと、アニメを観たときに好きなのはそれぞれ違うかも。原作小説で好きな部分でしたら、どちらの作品も、実は地の文が好きなんですよね。シーンじゃなくてすみません(笑)。このすば(『この素晴らしい世界に祝福を!』)は、ぶっきらぼうで他人事なのにどこか優しい雰囲気のある語り。リゼロ(『Re:ゼロから始める異世界生活』)は、心境も状況も的確すぎて、ちょっぴりチクッと残していく感じ。小説でしか味わえない部分だし、なんだか暁先生と長月先生らしさが凝縮されているような文字列で大好きなんです。


――ありがとうございました、最後に高橋さんのファンの皆様へ、メッセージを頂けますか。

高橋:今回のインタビューで、小説・ライトノベルへの想いを再認識しました。本を開けば、大好きなキャラクターたちが待っていて。なりたかった姿や、ずっと居たい場所がそこにはあって。そして今私は、誰かにとってのそんなキャラクターの声を務めているのか、と。責任、というとちょっと堅いですが、私の中にもあったこの気持ちに胸を張って応えられるよう、これからも大切に演じていきたいなと思います。



キャラクターを演じたり、現場とコミュニケーションを取る上で「読書の経験で役に立たないことは一つもない」と語ってくださった高橋さん。みなさんの読書の経験もきっと今に繋がっているはず。

高橋さん、ありがとうございました!


【プロフィール】
高橋李依(たかはし・りえ):声優。埼玉県出身。81プロデュース所属。主な出演作に「この素晴らしい世界に祝福を!」シリーズ(めぐみん)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(エミリア)など。