【カクヨムネクストの舞台裏】ニシキギ・カエデ氏 インタビュー

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2024年3月にオープンした、月額制の小説サービス「カクヨムネクスト」。
「カクヨムネクストの舞台裏」では、この新サービスにまつわる裏話や関係者のインタビューなどをシリーズでお届けします。第一弾では「開発チーム座談会」と題して、カクヨム運営でもあるKADOKAWAのメンバーと、開発会社である株式会社はてなのメンバーによる座談会をお送りしました。

今回の第二弾では『カードと猫と〈プレモン〉世界ニューゲーム』の作者であるニシキギ・カエデさんへインタビューを行いました。ネクストの特徴や収益還元について、作家の目線からみたカクヨムネクストを紐解いていきたいと思います。

最初は半信半疑だった

――まずは、最初に連載の依頼を受けたときのご感想を聞かせてください。
ニシキギ・カエデ(以下、ニシキギ):率直に申し上げますと、打診があったときは、報酬面や、この課金サービスの集客力や継続性に、若干の不安を持っていたことは確かです。
しかし、お話を聞くうちにカクヨムの本気度を感じて、せっかくなら、この新しいサービスで1番を目指してみたいという思いが高まり、たとえ見返りが少なくても、まずは挑戦をしてみようと思いました。

――実際にカクヨムネクストで連載をしてみて、いかがでしたか?
ニシキギ:有料のwebサービスで連載するのは初めてだったので、どのくらい方が読みに来てくださるのか、見当もつきませんでした。しかし、実際に蓋をあけてみると、継続して作品を読み続けてくれる方がとてもたくさんいてくださって、驚くやら、ありがたいやらで……。

――運営としても、サービス設計当初に想定していたより数倍も多くの方にご入会頂いており、また継続していただいており、感謝しています。
ニシキギ:そうなんですね。本当にありがたいです。

ネクストで書くことのプロモーション効果

――「カードと猫と〈プレモン〉世界ニューゲーム」はサイト上でも常に高い人気を得ていますが、なにか工夫していらっしゃることはありますか?
ニシキギ:最初100話くらいまでは毎日更新で読者をひきつけてスタートダッシュを決めようと思っていました。それ以降は無理せず続けられたらやろう、ということで始めたんですが、なんとかなりそう、ということでここまで毎日やってきています。実はSNSはあまり得意ではなくて、これといって目立ったPRはしていないのですが、私がカクヨムで連載している「ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~」の最新エピソードページで、「冒頭20話(72,000字)を無料で読めること」と「毎日更新していること」は、フォロワーの皆さんにお知らせしました。

――読者としては、絶対的な安心感がありますね。
ニシキギ:作家としても、ネクストと契約をして書かせていただいているわけですし、絶対にエタるわけにはいかない。更新だけは止めないぞ、という強い気持ちで書いています。そこは、やはり読者との信頼関係にもかかわることだと思うので。

――無料で読む読者ではなく、お金を払って読まれる場所で書く、ということに気負いはありませんでしたか。
ニシキギ:連載当初は、そのプレッシャーがありましたが、今はもう抜けましたね。
ネクストとUGCカクヨムにどんな違いがあるのか、最初は自分でもよくわからなくて、ネクストだからしっかりやらなくちゃ、とやや力んでいたかもしれません。運営さんから、作品に対してもいろいろ注文がつくのかと身構えていましたが、自由に書かせていただいていて、執筆スタイルとしては同じでいいんだ、と気づいてからは、リラックスして書けるようになりました。

――カクヨムネクストでは表紙としてイラストが表示されていることが、UGC面とは大きく違う特徴かもしれません。
ニシキギ:イラストは「この作品を読んでみよう」という重要なきっかけになると思います。 パッケージ買いのように、イラストを見て「あ、この作品、面白そう」と思っていただいて、クリックして頂いてる方もいるのでは。


ニシキギ:そして、やっぱりカクヨムネクストのTOPページを見ていても、映えていますよね。一目見て「すごい豪華だな」って感じることができて、あの雰囲気はとても良いと思います。
また、昨今、書籍化したとしてもなかなか広告を打ってもらうことは難しいので、カクヨムネクストで作家名やタイトルが露出したり、広告を出していただけることも本当にありがたいですし、心強いです。「プレモン」のPR動画を拝見した際にも、しっかりと作品の魅力を伝えられる動画になっていて、これなら多くの方にも興味を持ってもらえるのでは……と思いました。


給料の構成では、カクヨムネクストの割合が一番

――カクヨムネクストの収益面に関しては、いかがでしょうか?
ニシキギ・カエデ:非常に満足しています。 想定した2,3倍の収益をいただくことができていて、こんなに頂けるとは思っておりませんでしたので、正直、驚いております。
書籍化印税は、当然ながら毎月入ってくる訳ではないですし、毎月の収入面ではネクストに支えられているなと実感しております。
書籍化印税やロイヤルティプログラムの収益と比較しても、今はカクヨムネクストからの収入の割合が一番多いのが現状ですね。

――そのことは、実際に作家活動を続ける上で、何らかの影響があったりするものでしょうか?
ニシキギ:やはり、高いモチベーションを維持して、収入の心配をせずに執筆に集中できることは、精神的にも楽ですし、作家としても非常にありがたいです。
カクヨムネクストでトップをとるためには、決してクオリティを落とさずに、とにかく毎日更新を続けることが重要だと思っています。それができるのも、生活基盤が安定しているからこそ。こんなにもらっているんだったら、もっと頑張らないと、と踏ん張りがきくんです。
毎日更新を続けることによって、「朝、出勤するときに電車内でちょっと読む」とか、そういう日常の一部に私の作品を組み込んでもらえたらと思っていて。これが、1日でも更新をサボったりすると、とたんに読者って離れちゃうんですよね。私もデビュー前は長いこと読む側だったので、その気持ちがよく分かる。だからこそ、毎日更新を続けることができている面もあります。

――最後に、読者の方にメッセージはございますか?
ニシキギ:カクヨムネクストの顔になれるよう、そして何よりも読者の方に満足して読んでいただけるように、これからも頑張って「プレモン」を執筆して参ります。 まだまだ、1,000話を目指して続きますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします!

kakuyomu.jp