
小説を書くとき、何から始めればいい?
12月1日(月)よりいよいよ、「カクヨムコンテスト11」の応募受付が開始されます。
これまで何度かチャレンジしている方、初めてチャレンジする方、中には長編小説の執筆自体が初めてだという方もいるでしょう。
そんな時、真っ先にぶつかるのが「何から始めればいいかわからない」という悩みです。
プロット作りから着手すべきなのか、キャラクターから仕上げるべきなのか、見せ場から考えるべきなのか……。
そこで、カクヨムでの執筆経験もお持ちの人気作家のみなさんに「第1話を作り終えるまでに、どのような工程を踏んでいるか」についてインタビューさせていただきました。
今回お話を伺うのは、カドカワBOOKSより『図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~』シリーズを刊行している蒼井美紗先生。
11月10日(月)には『図書館の天才少女 4 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~』も発売されます!
インタビューを読んで気になった人は、ぜひチェックしてみてください。
インタビュー本編
まずは作品の方向性から
――自己紹介をお願いします。
蒼井美紗先生(以下「蒼井」):蒼井美紗と申します。2021年の5月に初めてカクヨムに小説を投稿しました。読書は子供の頃から大好きでしたが、執筆経験はなかったです。デビュー作が『転生したら平民でした。生活水準に耐えられないので貴族を目指します』という作品で、他にも『図書館の天才少女』や『帝国最強の天才騎士、冒険者に憧れる』など多数執筆しています。
犬を飼っていて、可愛い〜! 天使! が口癖です。犬派の皆さん、特に仲良くしてください。ただ昔は猫も飼っていました。猫派の皆さんもよろしくお願いします。
最近の悩みは積読が増え過ぎていることで、これ以上は床が抜けるからと増やせなくなった紙本の代わりにここ数年は電子書籍も買っているのですが、あれはダメですね……。置き場所に一切困らないと思ったらつい自制が効かず、数百、いや千は超えてる可能性も……もう数えていません。いつでも未読本があるって幸せですよね。うん、最高ですね。
とにかくこんな私のインタビューが皆様の役に立つのか分かりませんが、時間がありましたら最後まで読んでみてください。改めてよろしくお願いいたします。
――さっそくですが、蒼井先生は作品を書き始める際、まずは何から着手されますか。
蒼井:私はまず作品の方向性を考えます。例えば異世界ファンタジーの成り上がりもの、異世界恋愛の溺愛もの、現実が舞台の青春もの、スローライフものなど、本当に大雑把な方向性です。コンテストなどを目指していないときは、自分のこういう物語が書きたい! 読みたい! という欲求に素直に従います。コンテストなどに出す場合は、そのコンテストが欲しい作品のど真ん中を狙い、それが示されていない時も選考するレーベルの作品傾向から欲しい作品を予測して方向性を決めます。カクヨムコンテストではたくさんのレーベルが選考に参加するので、その中で自分が好きなレーベルや本を出したいレーベルの求めている方向性を確認して、そこから外れないように心がけていました。
一つの要素から浮かび上がってくるキャラクター
――方向性が決まったら、そこからどのように膨らませて他の要素を検討していくのでしょうか。実際に書き始める直前までの具体的な工程を伺えると幸いです。
蒼井:大雑把な方向性が決まったら、私は次にキャラを考えます。正直ここからの部分は例外も多く、言語化が難しいのですが……とにかく一つ大きな要素が決まったら、あとは勝手にキャラが鮮明になっていき、そのキャラから周囲の世界観やそこに住む人々も浮かび上がってくると思っています。
例えば『図書館の天才少女』という作品はカクヨムで実施されたカドカワBOOKSの「賢いヒロイン」中編コンテストのために新しく考えて執筆したのですが、最初の方向性はすでにコンテストで示されていたので、私はすぐに主人公を考え始めました。どんな賢さにしようかと考えて、記憶力が抜群に良くて本が大好きな女の子と決まりました。そしたら、あとはそこからの派生です。本が大好きということは、小さな頃から本ばかり読んでいて体力はないだろうな。たまにご飯を食べるのも忘れて背が低かったり痩せてそうかも。新しい本があったらキラキラと目を輝かせて飛びついちゃう子だったら可愛いな。そんな感じで主人公のキャラが明確に定まっていくと、今度はその周りのキャラや世界観も見えてきます。
▲『図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~』1巻の表紙。
主人公を活躍させたいし、読者の皆様にワクワクしてもらえるように成り上がり要素も入れよう。そうなると主人公は平民の女の子かな。でも主人公が本を読める世界観だから、平民図書館があるぐらいの文明レベルにしないと。また成り上がり要素があるとしても、平民の主人公が活躍できるように厳格な階層社会ではダメかな。それに主人公が本に時間を割けるように、実家が貧乏すぎるのは良くない。両親も主人公にたくさんの本を読ませているのだから、主人公を愛してるよね。
こうしてどんどん世界観が広がっていくと、幼少期から本が大好きで平民図書館の本を読破した主人公は、王宮図書館の本を読みたくて官吏を目指すんじゃないか。と想像できて、明確にストーリーが生まれます。
ここまで来るとあとはそのストーリーを先へと伸ばしていく形になります。そしてストーリーと同時に、主人公が出会うキャラたちも決めていきます。
長くなりましたが、私は上記のような工程を一気にやってしまいます。頭の中に次々と浮かんでくるアイデアを溢さないように、ひたすらメモを書き散らしていて、後でそのメモをキャラ設定やプロット、世界観設定など読みやすいようにまとめる形です。
ここまで終わったら、もうすぐにでも書き始められます。
第1話だけを読んで面白いと思えるか
――実際に書き始めるとき、作品冒頭(第1話)ではどのようなことを意識されていますか。
蒼井:実際に第1話を書き始める時は、とにかく読者の皆様に続きが気になると思ってもらえるように、分かりやすくて初見でも楽しめて期待感を煽られるシーンから始めようと意識しています。また書き終えた第1話を読み返して、その後のストーリーを全く知らない人がこの第1話だけを読んで面白いと思えるか、ストーリーの続きやキャラたちのこれからに興味を持ってもらえるか、その辺りは客観的に評価しようと心がけています。とはいえ、それが私にできているのかは分かりません。……自分の作品を客観的に読むのって凄く難しいなとずっと思っています。誰もがやってることだと思いますが、書いてから数日おくと少し新鮮に読めます(笑)。
――作品冒頭(第1話)の執筆後は、どのように続きを書いていきますか。プロット通りに進めていく、アドリブやライブ感を大事に1話1話を盛り上げていくなど、意識されていることがあればご教示ください。
蒼井:第1話を書いた後の物語は、私は基本的にキャラに任せる方針です。ただそうするとプロットから外れることも多々あるため、プロットから逸れることはあまり気にしないようにしています。特にキャラ同士のやり取りで話が進む場面や、事件の解決方法など、細かい部分がプロットから逸れがちです。プロットのかなりの分量が没になることもあるので、最近はキャラたちの行動で変わることがないストーリーを中心にプロットを書いた方が良いかもしれないと思っているところです。ただそうなると、なんかいい感じで事件解決! なんて書かれたプロットになり、それを見た未来の私が過去の私にイラッとしそうな可能性も……。
もう少し書き慣れて、自分にぴったりのプロットを作れるようになりたいです。
――「カクヨムコン11」に挑む作者の方々にも、大きなヒントになったと思います。ありがとうございました。
ぜひこのインタビューを参考に、自分なりの書き「始め」方を見つけていただければ幸いです。
「カクヨムコンテスト11」は、12月1日(月)より応募開始です。ふるってご参加ください!



