「カクヨム甲子園2025」授賞式にて行われた、あさばみゆき先生との質問会の内容をご紹介します。
執筆に悩む受賞者に送るあさば先生のアドバイスは、執筆の参考になること間違いなしです!
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語彙力を身につけるには、読書や映画鑑賞はもちろんですが、トレーニングとして最も効果があったのは「日常の景色を言語化してみる」ことだと思います。
たとえば、雨の日の日差しの感じや曇り具合、あるいは、学校でみんなが眠そうに授業を聞いている、その様子を自分ならどう表現するか、どうすれば自分らしい文章になるかを日常的に考えてみてください 。
むずかしい言葉を使う必要はないと思うので、自分の持っているボキャブラリーをどう自分らしい文章に落とし込むかということを、日常的にトレーニングしていれば、執筆時に言葉がぱっと出てきやすくなります。
他の作品を読んでいると引きずられやすい、といったご質問もありましたが、確かに、他の人の作品を読んでいると実際引きずられるので、私は小説を書いている間は他の人の作品をなるべく読まないようにしています。
ただ、文体が安定していないことは必ずしも悪いことではありません。私は児童書が中心なんですけど、たとえばYA(Young Adult)だったり、大人向けの小説を書いたりすることもあるんですが、比べて読んでいただくとわかるように、文体が全然違います。
その本のテーマや読者の対象年齢層にとって、どの文体が一番良いのかを考え、作品ごとにベストな文体を作っていくことが、幅広い物語を書く秘訣だと思います。
魅力的なキャラを作るうえで重要なことは、「関係性」だと思っています。主人公が立っていても、相手役やライバルがキャラ立ちしていないと、物語は成立しづらくなります。
物語の中心にあるのは人と人との関係性だと思うので、それぞれの抱える課題をぶつかり合わせ、そこからキャラを作っていくと、物語の進行とともにキャラクターが魅力的に見えてくるはずです。
私はそれほど設定を作り込む方ではありません。外見などの細かい設定よりは、「そのキャラが何を抱えているのか」「どんなテーマをこのお話で克服させたいのか」という点から逆算して必要な設定を立てています。
たとえば、人間関係が苦手、しゃべるのが苦手で、学校に行きづらいよ、といった主人公にする場合は、なぜ学校に行きづらくなったのか、生い立ちはどうなのか、とか、そういうふうに逆算して作っていくといいのかなと思っています。
あまりかちっと決めすぎると、書いているうちにズレてきたりするため、少しゆとりを持たせています。
ただ、「そのキャラは何が許せないのか」「どんな信条があるのか」という核の部分だけはぶらさないように気をつけています。
あくまでも私の場合なんですけど、エンターテインメント小説においては、「とにかく読者さんに楽しんでもらえること」がいちばん大事かなと思っています。
そのために大切なのは、無駄に難しくしないことです。凝った文体で間口を狭めてしまうより、ある程度、8割の人がすんなり受け取ってくれそうなものを目指すべきかなと思っています。自分が言いたいことがブレずに伝わる方法を模索してみてください。
児童書の読者さんはあたたかい方々ばかりなものの、評価はめちゃくちゃ気になりますし、ネガティブなものを見れば落ち込みます。私は「エゴサの鬼」なのでめちゃくちゃリサーチするんですが、感情的に受け取ると心を病んでしまうので、あくまで「次の本に活かすための情報」としてリサーチしています。
「自分の言葉が足りなかったのではないか」「ここが伝わりにくかったのではないか」と反省材料として処理できれば、自作をより良くする前向きな力に変えられるんじゃないかと思います。
他の作品を読むときに、分析しながら読んでしまうようになったことかなと思います。皆さんもすでに書かれていらっしゃる人なんで、たとえば映画を見たり、漫画を読んだりとか、別のジャンルのものを読んでも、この構成はどうなってるんだろうとか、どこで起承転結が起きてるんだろうとか、そういうのをすごい気にしながら無意識に読んでると思うんですよ。
それは勉強としてとても良いことなので、私も続けていきたいと思います。
影響を受けた作品は、小野不由美先生の『十二国記』シリーズ、京極夏彦先生、桑原水菜先生の作品を読んでいました。
文学系で言うなら、ウィリアム・ゴールディング先生の『蠅の王』。『十五少年漂流記』をダークサイドに落としたようなホラー的な小説で、全員に黒いところがあるんですよ。
今で言うデスゲームのような感じなんですけど、人間の嫌なところも直視して、文学に消化している、ちゃんと救いがあるエンドに持っていっているところがすごくかっこいいと思って読んでいました。
最初に小説を書いたのは、国語の授業の物語を書く課題でした。そこで思いがけず褒められたことから創作を続けるようになったんですけど、きちんと物語を完結させられるようになったのは中高生の頃だったかなと思います。
初めて受賞したのは大学生のとき、ホラー小説でとりました。それからずっと書き続けています。
高校時代はずっと教科書の方を見ずに書いたりしていて、怒られたりしていました。皆さんもきっとそうですよね。ちゃんと勉強はしましょう。
私の生活はあまりおすすめできませんが、高校生の息子がいるので、見送った後9時ぐらいから書き始めて、夜中の2時~3時ぐらいまで書いて、年休が1日、2日とかだったりします。
腰が立たなくなるので、今のうちに体力作りをしておくと、作家生活を楽しく過ごせるかなと思います。応援しています。


